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トランプ政権が仕掛けたイラン対立や中国貿易戦争より重要なもの。

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「アメリカがイランを攻撃して、これからどうなってしまうんだろう」と不安な人もいると思います。

新年が明けてすぐにアメリカがイランの司令官を攻撃したことで、短期的にリスク回避ムードが広がっている気がします。それでも、イラン関連のニュースは、長期投資家は何も気にしなくていいと思っています。

イラン関連のニュースだけではありません。トランプ政権が仕掛けているものは、全て気にする必要はないです。

トランプ政権はアメリカの経済を悪化させないように、ちゃんとコントロールしてやっていることだからです。

この記事のポイント

  • イランとの対立、中国との貿易戦争などトランプ政権が引き起こした政治リスクはすべて気にする必要はない。
  • トランプ政権はアメリカの景気に影響が出ない規模と時期を選んで、外国との対立を作り出し、成果を上げようとしている。
  • 本当に気にするべきは、トランプ政権やFRBがコントロールできない景気の悪化。失業率・GDP成長率の悪化、インフレ率の上昇が起これば、トランプ政権やFRBのコントロールが効かない状況になる可能性がある。

S&P500の最高値で対立をあおるトランプ政権

2019年5-8月頃まで、米中の貿易戦争の対立が深まる様子をこのブログでもつぶさに追いかけていきましたが、知れば知るほど見えてくるのは、アメリカが対立のタネを巻いて回収して、成果を得たと主張する姿です。

しかも、トランプ政権も賢いので、アメリカ経済に悪影響が出にくい時期をちゃんと理解した上で、外国と対立を生み出しています。

S&P500が低調な時期ではなく、ちゃんと最高値を記録したタイミングで中国やイランへの攻撃を仕掛けているので、相場は大崩れしていません。

  • 5月1週目:中国製品への関税発動
  • 8月1週目:9月から中国製品への追加関税を示唆。
  • 1月1週目:イラン司令官への攻撃

トランプ政権が仕掛けた対立の影響は限定的

トランプ政権が仕掛けている対立の特徴のもう1つは、アメリカの経済に影響が小さいものを選んでいるということです。

「え、米中貿易戦争は影響が大きいんじゃないの?」という声が聞こえそうですが、アメリカの経済全体に占める関税の影響は微々たるものです。

アメリカが中国に対して引き上げた関税は約700億ドル程度で、20兆ドルあるアメリカのGDPの0.35%に過ぎません。

しかも、もしも実際に景気が悪くなった場合には、何かしら理由をつけて自分で引き上げた関税を引き下げるだけです。

この簡単な仕事で得たトランプ政権の成果は大きいです。1つはFRBの政策金利引下げ、もう1つは部分的な中国との貿易協議合意です。特に、FRBの利下げのおかけでアメリカの株価が大きく上昇したので、トランプ政権としては大成功でした。

気をつけるべきはアメリカの景気の悪化

中国やイランとの対立など、トランプ政権が仕掛けたものは全然気にする必要がないと思っています。

ただし、アメリカ経済はそれらの対立がなくとも景気サイクルの終盤に差し掛かっているので、アメリカの景気が持ちこたえられるかは、しっかりと注意してみたおいたほうが良いと思います。

アメリカの景気の悪化が進行していないかをみるために、見ておくべき数字は「失業率」「GDP成長率」それに「インフレ率」です。

注意を払うべきデータ

  • 「失業率の悪化」や「GDP成長率の鈍化」
  • 「インフレ率の上昇」

これらの数字が悪くなった場合には、トランプ政権が仕掛けた政治リスクと違って、アメリカ経済に与える影響が巨大すぎてトランプ政権もFRBもコントロールが相当難しいです。

これらは普段からニュースを見ていても、おそらく地味すぎて話題に登らないテーマです。でも、2020年はGDP成長率が1.8%と4年ぶりに伸び悩む年だと言われているので、これら地味な数字こそ今年は注意して追うべき数字だと思います。

ちなみにどの数字が悪くなるかで、資産の守り方も変わります。

  • 「失業率悪化」や「GDP成長率鈍化」なら:株が下落し、国債が買われる。
  • 「インフレ率上昇」なら:株と国債が下落し、金・コモディティが買われる。

2020年は基本的には株を持っていればいいと思います。しかし、「失業率」「GDP成長率」「インフレ率」のどれかの数字が想定以上に悪化するような状況がもしも起こった場合にちゃんと資産を守れるように、これらの数字はウォッチだけではしておかないといけないなと感じています。


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