2020年に入ってから半月が経ちました。市場は順調なスタートを切ったように見えます。
株価だけ見ているとなかなか気づかないのですが、米国株・国債・金・仮想通貨すべての資産が上昇しています。単純にリスクオン・リスクオフといった投資家心理に関係なく、あらゆる市場に投資資金が集まっているのかなと感じます。
この記事のポイント
- 2020年に入ってから、米国株・米国債・金・仮想通貨が上昇している。アメリカを中心とした市場にお金が向かっているように見える。
- 市場にお金を誘導しているのも、生み出しているのもアメリカの中央銀行FRB。
- FRBは今の金融政策を維持すると言っているので、しばらく市場に投資資金が増える現象は続きそう。
- ただし、資産価格はどんどん高くなれば、いつか下落する。この投資環境は無限に続かない。
あらゆる市場で価格が上昇
この記事を書いている1月16日時点の2020年に入ってからリターンを見てみると、株・国債・金・仮想通貨のあらゆる資産が上昇しています。
2020年の年初来リターン
資産 | シンボル | リターン |
---|---|---|
米国株SP500 | SPY | 1.8% |
長期米国債 | TLT | 1.6% |
金 | GLD | 1.6% |
ビットコイン | BTC | 21.2% |
この流れは2020年に入ってからではありません。私の認識では、2019年から続いています。
2019年1月から2020年1月16日までのリターンを見て見ると、やはり全ての資産価格が上昇しています。
19年1月から20年1月16日までのリターン
資産 | シンボル | リターン |
---|---|---|
米国株SP500 | SPY | 25.8% |
長期米国債 | TLT | 15.8% |
金 | GLD | 19.8% |
ビットコイン | BTC | 141.0% |
もはや、「安全資産の国債や金を売って、株を買うリスクオンの動き」とか、「株を売って、国債や金を買うリスクオフの動き」とかでは説明ができない状況です。
投資資金の総量が増えて、あらゆる市場にマネーが流入しているように見えます。
マネーを増やし投資を促すFRB
いろんなグラスに水をそそぎ入れるように、誰かが市場というグラスにお金を注ぐように促しているか、それともドンドンと注ぎ入れる水(投資資金)の総量を増やしている人がいるようです。
私の考えでは、その人はアメリカの中央銀行FRBです。2019年にFRBは2つのことをやって、市場をお金で満たそうとしました。
- 金利の引下げ:低金利になると、あらゆる資産の評価額が上がる。利下げで投資資金を市場に呼び込んだ。
- 大量の短期債購入:FRBは市場から短期債を買い取って、市場に大量の現金を供給し続けた。
※2019年からの短期債権を大量購入とは、レポ金利安定化のためのFRBの短期債購入のことを指しています。
FRBのダラス連銀総裁も、「低金利」「短期債の購入」「当面、利上げしないという意思表明」の3つが株や不動産などのリスク資産価格を押し上げているとブルームバーグのインタビューで答えています。
>>米金融当局の政策、リスク資産の上昇あおる-ダラス連銀総裁(ブルームバーグ)
しばらく継続するFRBの政策
資産価格を押し上げているFRBの政策ですが、少なくとも2020年2月までは今のまま続きそうです。
金利についてはFRBパウエル議長も据え置きを示唆していますし、短期債の大量購入を実施しているニューヨーク連銀は2月までは継続すると宣言しています。
なので、しばらくは投資家にとって優しい環境が続きそうです。
ただ、こうした価格の上昇する投資環境はずっとは続かないことは頭の片隅に入れておいたほうが良さそうです。
当たり前ですが、株は企業の利益を無視してどこまでも上がるわけはありません。国債も買われ続ければ、株の配当利回りのように利回りが低下して魅力が減り、いつかは買われなくなります。
つまり、FRBの政策を長年続ければ、最終的にはバブルになります。
さすがに2020年の今がバブルだとは私も思いません。ただ、「もしも長年続ければ」その可能性はあります。
ダラス連銀はそのリスクをハッキリと認識していて、特に短期債の大量購入については「コストが伴う」といって警戒しています。なので、大統領選の影響もなくなる2020年後半にもFRBが大量の短期債購入をやめるか、やり方を買える可能性は十分にあります。
そして、その後に何が起こるのかは注意して様子を見たいと思います。