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ステイホームの恩恵を受け、好決算を出したマコーミック【20年3-5月期】

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コショウをはじめ調理料でおなじみのマコーミックの2020年3-5月期の決算がありました。想像以上に良い決算でした。

2019年は好調だった2018年の反動で低迷をしていましたが、売上・利益だけをみれば2020年3-5月の決算は久々に完璧な内容でした。

ただし、部門別の業績を内訳をみると、3-5月がいかに厳しい環境だったかが見えてきます。

新型コロナウイルスの好影響を受けた好調部門の営業利益は前年比+68%、悪影響を受けた部門は同マイナス63%と、激動の時代を生き抜いた結果の好決算だったようです。

この記事のポイント

  • 2020年3-5月の決算は利益・収益ともにアナリスト予想を大きく超えた。
  • ただし、新型コロナウイルスの影響を全く受けなかったわけではない。レストランなどの業者向け「フレーバー・ソリューション部門」が多大な利益減少を被った一方で、ステイホームで人々が調理をするようになったおかげで「消費者向け部門」が大きく業績を伸ばした変化の激しい決算だった。
  • 新型コロナウイルスの今後の動向が読めないため、マコーミックは今後の業績見通しを既に撤回している。

2020年3-5月期は予想を超える好決算

近年はマイクロソフトやアップルなどの大型IT銘柄の人気が高いですが、IT銘柄のような派手さはなくてもS&P500のリターンを着実に長年超えてくる銘柄は数多くあります。

マコーミックもそんな銘柄の1つで、コショウなどの調味料を売るだけの昔ながらの地味なビジネスですが、着実に業績を伸ばしていて、米国株に長年投資している人に人気の高い銘柄です。

安定してS&P500のリターンを超えるマコーミック

このマコーミックの3-5月はアナリストを超える良い結果を出しました。

2020年3-5月決算

  • 一株利益:1.47ドルで、予想を0.31ドル上回る(前年比+27%)。
  • 収益:14億ドルで、0.3億ドル上回る(前年比+7.7%)
  • 粗利率:41.4%で、予想の40.0%を上回る

近年の売上を見てみると、好調な2018年の反動を受けて2019年には売上成長率がかなり鈍化していたのですが、今期は売上成長の勢いが戻ってきました。

新型コロナウイルスの影響を大きく受けた部門別業績


ただし、マコーミックが新型コロナウイルスの影響を受けなかったかというとそうではありません。

マコーミックにはスーパーなどで消費者向けに調味料を販売する「消費者向け部門」と、レストランなどの食料を提供する業者向けに新しい味の提案をする「フレーバー・ソリューション部門」があります。

この2つの部門ともに新型コロナウイルスの影響を大きく受けました。

低迷するフレーバー・ソリューションを消費者向け部門がカバー

部門名 営業利益(100万ドル) 前年比
消費者向け部門 231 +68%
フレーバー・ソリューション部門 28 -63%
全体 260 +21%

新型コロナウイルスが流行している間は、レストランなどの閉鎖を受けてフレーバー・ソリューションは大きく低迷しました。その一方で、人々が家で調理をするようになったので、消費者向け部門の売上が大きく上昇しています。

「消費者向け部門」が前年比+68%、「フレーバー・ソリューション部門」が前年比マイナス63%と、新型コロナウイルスで大きな影響を受けたようです。

新型コロナウイルスの影響


既に部門別業績で新型コロナウイルスの影響については触れましたが、決算報告でCEOたちが新型コロナウイルスの影響についてコメントを数多くしているので、ここでまとめておきます。

新型コロナウイルスのマコーミックへの影響

  • 新型コロナウイルスによって、直近の数カ月は異常とも言える期間となった。
  • 消費者部門は新型コロナウイルスで好影響を受けた。アメリカとヨーロッパの巣ごもり需要が見られ、中国でも外食よりも自炊をする傾向が続き、好影響が続いた。
  • 来期の消費者部門は3-5月ほどの好調ではないものの、過去の不況時の傾向から判断して、外食を控えて家庭での料理の消費が依然として多くなると予想。
  • 下半期は既に1ヶ月弱経過したが、データを見る限り消費者の需要は高い。
  • フレーバーソリューション部門の売上は大きな悪影響を受けた。パッケージ食料品とファストフードレストラン(Quick Service Restaurant:QSRs)の需要は回復しつつあるが、その他のレストランの需要はまだ弱い。
  • フレーバーソリューション部門の需要は下半期に回復を見込んでいるが、年内にコロナ以前の需要には完全には戻れないと予想。

「消費者向け部門」の業績は今期ほどではないにしても今後もしばらく好調が続きそうで、なおかつこの部門はマコーミックの主力部門です。マコーミックはこのままいけば、うまく新型コロナウイルスの不況の波を泳ぎきれるだろうと期待も持てます。

まだ予断は許しませんが、多くの企業の売上が低迷する中で、新型コロナウイルスの影響を受けながらも業績を伸ばすマコーミックの決算は、いつも以上に輝きを放って見えました。

長期的な保有を見据えて、購入を検討しても良い銘柄だと思います。


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