2021年の米国株は少し投資が難しいなと感じます。
S&P500などの米国株指数のグラフだけを見ていると、何事もなかったかのような順調な株価の上昇が続いていますが、米国株はやはり割高で今後どのような展開になるのかの予想がかなり難しいです。
「米国株の今後の展開は読めません」とだけ書く記事では価値がありませんし、「予想する必要はありません。いつでも米国株に投資するだけです」というのはリスクの管理で問題があるかもと思ったので、わからないなりにどこまで考えているか、米国株の今後を占うために現段階でどんな動きに注目しているかを書いていきたいと思います。
この記事のポイント
- 今の米国株の高値が続いている主な原因は、金融緩和で極端に米国債が買われていることがある。
- 長期的には2021年の国債は割高すぎるのでどこかで売られ、米国株も下がる。
- 一方で、短期的には米国債は上がる要因も下がる要因もある。それらの要因をこの記事であげていく。
米国株に影響を与える米国債の存在
米国株の株価に影響を与える経済のニュースは、毎日山のように情報が流れてきます。個人投資家など一人で運用している場合には、到底それらを把握しきれません。
そういうときに大事になってくるのは、「何が米国株に大きな影響を与えるか」です。
このブログでは、以下の記事でも書いたように、米国債の行方が米国株の動きを占う重要な役割を果たしているという話を度々してきました。
結局は米国株が国債よりも割安かどうか
2021年で米国株の投資家の話題にのぼっているのは「(1)アメリカの中央銀行FRBがいつから国債の購入を縮小するのか」、「(2)FRBいつから政策金利を引き上げるのか」、「(3)インフレ率がどこまで上昇するのか」などです。しかし、少し考えてみると、使っている言葉は違うのですが、実はこれらはすべて「米国株が国債よりも割高かどうか」を心配していることに気がつきます。
買われすぎて利回りがほとんどない米国債に比べれば、米国株のほうがまだ多少のリターンの見込めるため、投資家の資金は米国債ではなく米国株に向かいやすくなっています。
この流れがある限り米国株は高値が続くので、米国債が割高な状態が続けば、米国株も高値が続くと言えます。
米国債は長期ではどこかで売られるが、短期ではどうか
米国債の今度の行方がわかるなら、米国株の行方も見えてくることになります。
しかし、この「米国債が今後買われるのか、売られるのか」を予想するのが、とても難しいと最近感じています。
もう少し正確に言うなら、今の米国債は歴史的に買われすぎているので長期的にはどこかで売られるだろうことは予想できますが、「それがいつなのか」や「短期ではどんな動きが起こるのか」がまだ見えてきません。
予想時期 | 米国債の展望 |
---|---|
短期 | (予想が困難) |
長期 | 2021年は歴史的に割高なので、どこかで売られる。 |
短期の予想を難しくしている背景に、「国債の買い(利回りの低下)」と「国債の売り(利回りの上昇)」につながる両方の要因があります。
国債が買われる(国債利回り低下)の要因
- 2021年の景気回復はピークを過ぎた可能性が高く、長引くコロナとの戦いで景気の見通し悪化する恐れもある(景気が弱ければ、安全資産の国債が買われる)
- 2022年は2021年に比べて新規国債発行が急減するので、大きな国債売りが起きづらい。
2点目の2022年の国債の発行が減る話は影響がやや大きいと思われます。金融緩和の一部が縮小しても2022年なら問題ないと考える人がいるのも、このためです。
JPモルガン・チェースは、財務省短期証券(Tビル)を含む国債の純発行額は22年に1兆4600億ドルと、今年の水準から約8600億ドル縮小すると予想。中長期債だけで見ると、来年の純発行額は今年と比べ約1兆ドル減る見通しだという。(ブルームバーグ)
反対に、国債が売られる要因もあるのであげておきます。
国債が売られる(国債利回り上昇)の要因
- コロナ時の金融緩和で国債は歴史的な割高(極度の低利回り)になったが、金融緩和がなくなれば状況が変わる恐れがあり。
- まだ市場の投資家が警戒していないインフレ率が予想外に高止まりを続ける恐れがある。(インフレが起これば、インフレに弱い国債は売られる)
これらの要因の中でどれが一番大きく効いてくるのか、どんな順番で国債の売買に影響がでるのかは、観察する必要がある気がしています。
ちなみに、最近書いた記事では、数ヶ月国債が買われすぎた反動で今後数ヶ月で国債が売られる可能性もあると書きました。
その記事を書いてから、上に書いたような国債が買われる要因・売られる要因を考えてみた結果、今では「短期的に売られることも買われることもどちらもあり得る」とフラットな意見に考え直しました。
まとめ
この記事では、米国株の今後を占うために、米国債の動きに注目して話をしました。
米国債が買われ続けていれば米国株も高値が続き、国債が売られれば逆の展開になるはずです。
2021年現在の米国債は歴史的な割高な状態にあるので、長期的見ればどこかで売られると思われますが、たとえば今後数ヶ月から1年程度などの短期的な動きは予想がかなり難しい状況にあります。
いくつか国債の買いや売りに繋がりそうな要因を見ていきましたが、それらの中で何が一番大きく効果が見られているのかを観察していきたいと思います。
現時点では私はまだ米国株にすぐ下落が起こるとも、上昇が続くとも予想はしていません。
ただ、今投資をしてまともなリターンが得られそうなものを探そうと思うと、米国株や米国債には投資の魅力が少なく、必然的に別の国や資産で良いものがないかと探したくなってしまいます。