マクドナルドの2019年第3四半期の決算が発表されました。結果は近年のマクドナルドとして珍しく悪かったです。利益も売上も事前予想を下回りました、これは2年ぶりのことになります。この決算発表を受けて、株価は大きく下げてしまいました。
- 一株利益:2.21ドルの予想を下回る2.11ドル
- 売上:55億ドルの予想を下回る54億ドル
- 世界の既存店売上:5.6%の予想を上回る5.9%成長
- 米国の既存店売上:5.2%の予想を下回る4.8%成長
特に売上の3分の1を占める米国の既存店売上の伸びが鈍化してしまったことは、株主に重く受け取られているようです。
第3四半期は値上げを実施し、アメリカのマクドナルド店舗を刷新し、電子パネルでオーダーできる最新機器を導入したりと購買意欲を上げる努力をしましたが、前期まで2四半期連続で伸びていたアメリカでの既存店売上成長率はやや減速してしまいました。
不調の原因ですが(1)前期まで好調だった販売キャンペーンを刷新したらうまくいかなかったこと、(2)競合が次々と新メニューを打ち出していて客足が思ったように伸びていないことがあるようです。
絶好調だった販売キャンペーンの終了
さて、前回の2019年第2四半期のマクドナルドの決算を覚えている人は、「アメリカでの販売キャンペーンがハマって、絶好調の決算じゃなったのか」と首をかしげていることと思います。
米マクドナルド、今後はドライブスルーの売上増加に期待。2019年2Q決算振り返り。
はい、ここで残念なお知らせです。絶好調な販売キャンペーン”2 for $5 Mix and Match”は既に終了しています。
“2 for $5 Mix and Match”は「ビックマック」「フィレオフィッシュ」「チキンナゲット10ピース」「クオーターパウンドチーズバーガー」のうちから2つが$5で買えるキャンペーンが絶好調で販売が伸びていたのですが、多くの人に惜しまれながらこのキャンペーンは無事に終了しました。
代わりに8月中旬から”buy one, get one for $1″という、ビックマックやフィレオフィッシュを1個買ったら追加で2個目を1ドルで買えるキャンペーンを始めたのですが、前のキャンペーンよりも割高になってしまうケースが多く、販売を落とす形になってしまいました。
やめなきゃよかったのに!?
「販売好調のキャンペーンならやめなきゃよかったのに」という声が聞こえそうですが、そうとも限らないのが小売やレストランの難しいところです。
消費者向けビジネスの世界では「商品パッケージデザインを新しくしたタイミングで売上が上がり、もとのデザインに戻したタイミングでまた売上が上がった」という有名な実験結果があります。この実験結果が意味しているのは、消費者は変化を求めているということです。また、同じことを続けていても売上が鈍化することも一般的にわかっています。
日本人は特に「期間限定」とかが好きなので、このあたりはイメージしやすいですね。
なので、人気のキャンペーンを続けてもずっと好調が維持できる保証はないので、マクドナルドが人気のキャンペーンをやめて別のものを打ち出したことは定石としては間違っていません。ただ、今回の新キャンペーンで結果が出なかったのは残念でした。
今までも何度も”2 for $5キャンペーン”をやっているので、またしばらくしたら同じキャンペーンを打ち出してくるかもしれません。
ライバル店の攻勢を受けた鈍い客足
さて、売上が伸びなかった2点目の原因も気になる問題です。ライバル店が次々と新メニューを打ち出して、競争が激しくなっています。マクドナルドのケビン・オズマンCFOは「おそらく8月中旬から9月中旬にかけて、競争圧力がかかってきた」と話をしています。
ウェンディーズが人気メニューのスパイシーチキンで、マクドナルドのナゲットの市場をいくらか奪っているほか、バーガーキングが全米で植物由来の人工肉(代替肉)バーガーを販売させて、メディアから脚光を浴びているなど、新メニューでマクドナルドはやや押され気味の状態です。
マクドナルドも重い腰を上げて、代替肉バーガーPLTサンドをカナダで実験的に販売する計画を発表しましたが、この動きはバーガーキングよりも半年遅れています。
マクドナルド、カナダで代替肉バーガーP.L.Tを12週間販売へ
ライバルが客足を伸ばす中、マクドナルドの朝食の売上の伸びが鈍化しているのも気になります。他のライバル店は、広告やキャンペーンを打ち出して朝食メニューの売上を前年比10%で拡大させていますが、マクドナルドの朝食の売上上昇は、通常メニューの売上増加率とほぼ変わらないと言います。
ライバル店が勢いづいている中、マクドナルドが苦戦している様子が見えた2019年第3四半期の決算となりました。