マクドナルドの決算は悪かったです。
もともと業績の悪化することは伝えられていたので予想もかなり低めでしたが、発表された利益はその悲観的な予想にわずかに届きませんでした。
収益は前年からマイナス30%、営業利益は同マイナス58%で、新型コロナウイルスという特殊な事象でなかったら悪い夢でも見ているかのような数字が並びました。ただし、予想からはそれほどかけ離れていなかったので、決算発表後の株価はマイナス2%程度の下落で済んでいます。
4月に業績が底を打ってからは改善傾向にあるので、回復がどの程度力強いものになるかが今後の焦点になりそうです。
この記事のポイント
- マクドナルドの業績は2020年4-6月期に急速に悪化した。収益は前年比30%減、営業利益はマイナス58%減だった。
- 収益はアナリスト予想を上回ったが、利益は予想に届かなかった。
- 世界の既存点売上は前年比マイナス24%。ただし、もともとドライブスルーが売上の大半を占める米国では同マイナス9%と健闘した。
- 4-6月の3ヶ月でも売上は毎月改善傾向にある。営業時間短縮や店内飲食禁止などの規制はあるものの、6月末で世界の96%の店舗は営業できるところまで回復した。
2020年4-6月期決算
今期のマクドナルドの決算は良くなかったです。
利益は予想に届かず前年比マイナス68%、売上も前年比マイナス30%減少と大幅に悪化しています。
- 調整後一株利益:0.66ドルで、予想を0.10ドル下回る(前年比マイナス68%)。
- 収益:37.6億ドルで、予想を0.3億ドル上回る(前年比マイナス30%)
以下で、収益と営業利益の成長率の推移のグラフを見ても、今期は特別悪かったことが一目でわかります。
マクドナルドは既存店売上が好不調のバロメーターになっていますが、世界の既存店売上も前年比でマイナス24%と大きく沈みました。
回復傾向にある業績
4-6月の業績は確かに悪かったですが、今回の決算は悪いニュースばかりではありませんでした。
多くの他の企業や、経済指標が示しているように4月に業績の底を打ってからは、毎月着実に改善している傾向が見られます。
以下は、前期と今期の決算で発表された月ごとの業績を集計してグラフ化したものですが、業績は一時期の低迷からだいぶ回復しています。
米国の売上の回復が早いのは、ドライブスルーを中心に営業を早期に再開できたこと、もともと売上の大半がドライブスルーによるものだったことに加えて、近年のドライブスルーに対して積極的に投資をしていたことが幸いしているようです。
米国以外でも開店率は4月から6月にかけて、回復の傾向が鮮明に見られます。
開店率 | 4月末 | 6月末 |
---|---|---|
米国 | 99% | 99% |
主要9カ国* | 45% | 94% |
その他 | 80% | 94% |
世界合計 | 75% | 96% |
※主要9カ国はオーストラリア、カナダ、ドイツ、フランス、イギリス、イタリア、ロシア、スペイン、オランダのことです。
ただし、開店率は回復しても、営業の質はコロナ前の状態にはまだ戻っていません。席を減らした状態での店内飲食であっても再開できている地域は限られていて、営業してもドライブスルー・デリバリー・テイクアウトに依存した営業をしています。
地域別の開店状況
- 米国:ほぼ全店でドライブスルー、デリバリー、テイクアウトで営業している(限定メニューや短縮営業店もあり)。2000店舗は席数を減らして、店内飲食も再開。
- 主要9カ国:限定メニュー・短縮営業ながら、全ての市場でドライブスルーとデリバリーを再開できた。一部の地域ではテイクアウトや、席数を減らした店内飲食も再開している。
- その他地域:中国と日本はすべての店舗で、席数を減らした状態で店内飲食を再開。ラテンアメリカでは、ほぼ全店閉鎖している。
世界の店舗の開店率は大幅に向上したので、今後は営業状態の質の改善が望まれます。
さいごに
前評判ではファストフードは、ドライブスルーやデリバリーなどと親和性が高いため、レストラン業界でも回復が比較的早いはずだといわれていました。
たしかに、マクドナルドの4-6月の売上推移を見てみると、6月はアメリカでマイナス2%、世界でもマイナス12%とかなり堅調に回復している様子が見えます。
問題は投資家がこうした業績の回復を見越して、既にマクドナルド株を結構買っている様子がみられることです。業績が低迷しているわりには、既に最高値からマイナス12%の水準まで株価は回復していて、そこまで割安な印象はありません。
マクドナルドは44年連続して配当を増やすなど連続増配銘柄としても知られていて投資家からの信頼も厚いです。
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