施策がハマり大きく上昇した既存店売上
売上と利益はわずかに予想を上回る程度の内容でしたが、既存店舗の売上向上施策がハマっており、今後に期待的できる内容でした。マクドナルドの株価は決算発表後に一時2%上昇し、過去最高値を更新しました。
- 売上:前年同期比と変わらず横ばいの53.4億ドル。アナリスト予想53.3億ドルを上回った。
- 一株利益:2.05ドルで、予想と一致。
- 米国の既存点売上:前年同期比で5.7%。アナリスト予想の4.47%を上回った。
- 世界の既存点売上:前年同期比で6.5%。アナリスト予想の5.08%を上回った。英・仏・独が好調だった。
この中でも、注目なのは米国の既存点売上がアナリスト予想を上回った点です。米国は世界のマクドナルドで最も注力をしていて、先進的な取り組みをしている地域です。その米国での取り組みが功を奏して、既存点売上が上がっている点は今後も期待を持てる内容でした。
マクドナルドがアメリカで取り組んだこと
それではその米国で取り組んでいる内容について振り返ってみましょう。
- マクドナルドは主力の米市場で1万4000店舗を刷新し、セルフ注文端末(キオスク)を導入するなど、デジタル決済サービスを拡充。
- 店舗キャンペーン(2 for $5 Mix and Match、ディズニーとの提携刷新による新ハッピーセット)が効果的に既存点売上を押し上げた。
- Uber Eats宅配サービス(2019年に7月UberEatsだけでなく、宅配ビジネスのドアダッシュとも提携を発表した)
- メニュー絞り込みによる商品提供時間のスピードアップと、追加商品提案を行うデジタルディスプレイ導入を含むドライブスルー改革
このうち上から2つ目の”2 for $5 Mix and Match”については、日本ではやっていないものなので、イメージがつきにくいかも知れません。「ビックマック」「フィレオフィッシュ」「チキンナゲット10ピース」「クオーターパウンドチーズバーガー」のうちから2つが$5で買えるキャンペーンです。
しかし、この中でアメリカの既存点売上の将来性に一番効果があると思われるものは、デジタル決済も、店舗キャンペーンでもUber Eatsの宅配サービスでもありません。4点目にあげたドライブスルー改革です。
マクドナルドがドライブスルーを重視する理由
マクドナルドがアメリカのドライブスルー改革を急ぐ理由は大変シンプルです。アメリカのマクドナルドの売上の70%が、ドライブスルーによるものだからです。さすが車社会のアメリカですね。
マクドナルドはドライブスルー回転率向上と、従業員の負担を減らすためにドライブスルーのメニューの絞り込みを行って、商品提供スピードを改善しています。また、ドライブスルーのメニューディスプレイには、買収したDynamic Yields(ダイナミック・イールド)の技術を使って、天候や選択すでに商品に応じて「こんな商品もいかがですか」と追加の商品提案できる機能を試しています。
【IT化が進むマクドナルド】最適な商品提案をするメニューボードへの挑戦
この追加の商品提案は既にアメリカの700箇所のドライブスルーに導入して、効果があることがわかったとのことで、今後2週間でアメリカで8000箇所のドライブスルーへの導入、今月からオーストラリアへの導入開始は始まる予定です。
アメリカではドライブスルーの売上規模が大きいだけに、今後の売上拡大に期待がかかります。
今後の懸念点はコストの増加か
しかし、今後の懸念点が無いわけではありません。マクドナルドはフランス、ドイツ、オーストラリア、イギリス、カナダの5つの売上上重要な国でコストの増加が見られると発言をしています。2019年に見越していた原材料コストは2%の上昇でしたが、2.5%に引き上げています。