アメリカの景気の強さは月末のアメリカの個人消費が成長しているかどうかで確認するのが一番です。
ただ、その発表の前に、似たようなデータで「小売売上高」や「マスターカードのカード利用データ」が発表されるので、それらでアメリカの景気が好調なのか不調なのかの雰囲気は知ることはできます。
そしてマスターカードのデータの1月分は既に2月10日に発表されているので、この記事で見ていきます。
私の見方が間違ってるだけかもしれませんが、1月もアメリカの個人消費は成長していないのではないかと思うような不安な数字が出てきました。
この記事のポイント
- マスターカードによれば、自動車を除く1月のアメリカの小売売上は前年比+7.2%だった。
- 一見すると+7%台の成長はかなり好調に見えるが、このデータには物価の上昇分も含まれている。それを除くと消費はほとんど成長していない恐れが高い。
低迷しているアメリカの消費の成長
最近は投資家の間ではインフレとインフレを抑えるための政策金利引き上げ(利上げ)が話題になってます。
利上げが起こると景気が冷えたり株価が下がりやすくなったりと影響が大きいので、インフレと利上げが注目される理由はとてもよく分かります。
しかし、2022年に予想されている7回の利上げが十分にできるほどアメリカの景気は強いかどうかを確認しておくこともまた重要だと私は思っています。
インフレを警戒していたら、急に不況がやってきて不意をつかれたという展開もあるかもしれません。
ここで少し最近のアメリカの景気をおさらいをすると、2021年11月と12月の個人消費はインフレを除くとマイナス成長と不安の残る内容でした。
そろそろプラス成長に戻りたいところですが、マスターカードが公開したデータを見ると、1月も強い消費はそれほど期待できないかもしれません。
変動の大きい自動車販売を除いた1月の小売売上は前年比で7.2%成長でした。
- 1月:前年比+7.2%
- 前月(12月):前年比+10.3%
1月も消費は実質マイナス成長か
「前年から+7.2%も伸びているならいいじゃないか」という見方もできそうですが、この数字の問題は最近のアメリカの物価の上昇を含んでも+7.2%しか伸びていないことにあります。
既に多くの人に知られている通り、今のアメリカは前年に比べて+7.5%で物価が上昇しています。
>>【関連記事】アメリカの物価の伸びは1月に加速。利上げ予想も大きく前倒しへ。
この高いインフレの影響を考えると、1月のアメリカの消費はまた実質マイナス成長が続いている可能性があります。
しかも、私の考えが間違っていないなら、その可能性は低くないと思われます。
上で見たように、マスターカードによる小売売上の伸びは1月のほうが12月より低いです。その上、インフレ率も1月のほうが大きく悪化しているので、1月には悪い条件が2つも重なっています。
12月ですら個人消費は実質マイナス成長だったので、1月に良い結果を期待するのは早くも望み薄な気がしています。
さいごに
この記事では、マスターカードの1月の小売売上の伸びが前回よりも鈍化していることを紹介しました。
その前回の12月は消費の伸びがイマイチだったので、1月も消費が伸びていない恐れがあります。
もちろん、マスターカードとアメリカ政府の集計ではデータを集める母集団も項目も違うので結果は変わる場合がありますが、少し警戒して見ておきたいと思います。