今年もジャクソンホールでFRBのパウエル議長が講演を行いました。
毎年このスピーチで今後の金融政策の手がかりになるような話が多く聞かれるので注目されてます。
しかし、事前に投資家が予想(警戒)していたような話はほとんどありませんでした。
パウエル議長の発言はどちらかというといつもどおりに必要なら利上げをすると構えを見せ、投資家は新たに11月の利上げを折り込み始めました。
この記事のポイント
- ジャクソンホールのでパウエル議長のスピーチでは特に大きなサプライズはなかった。
- 最近のインフレ鈍化傾向は歓迎しつつも、必要ならインフレを抑えるために利上げをすると発言したことで市場の利上げ確率が上昇した。
- 市場は2023年11月にも最後の利上げが1回あると見込んでいる。
市場は11月に追加の利上げを織り込む
下のロイターの記事でもまとめられていますが、パウエル議長の発言の中で投資家に伝わったのは、必要があればまだ利上げするということだったのではないかと思います。
>>適切なら「利上げの用意」、インフレ依然高すぎる=米FRB議長(ロイター)
パウエル議長は「インフレがピークから鈍化したのは歓迎する」とは言いながらも、個人消費はとても強く、住宅も回復している可能性があると懸念していました。
なるほど、すでに多くの人が知ってるようにアメリカのインフレは2022年半ばから2023年にかけて急低下しています。
しかし、その一方で消費はまだまだ強く(GDPNowの予想では7-9月期は個人消費が牽引してGDP6%弱の成長が見込まれています)、2022年は利上げで価格が下がった住宅価格さえも2023年2月からは上昇に転じるなど、今の金融引き締めの効果は十分ではないのかもしれません。
これらの状況に対して、パウエル議長は「景気が想定通り減速していない」とコメントしています。
「必要と判断すればさらなる利上げをする可能性もある」、「景気は想定通り減速していない」という2つの発言が合わされば、このまま行けば利上げが起こることになります。
というわけで、市場の投資家もついに11月の利上げを織り込み始めた模様です。
11月は最後の利上げか
すでに半年以上も「次の利上げが最後の1回」と言われ続けて利上げが続いていますが、またしても新しい利上げが織り込まれてしまいました。
これだけズルズル続くとやるせないのですが、最後の利上げをすぎればそれ以降は米国債が買われる動きが出るはずです。
2023年は米国債を買う投資家にとってかなり我慢のいる展開が続きますが、次の11月の利上げが本当に最後になることを願っています。