アメリカは3月23日に次の金融政策を決める会議(FOMC)を控えています。
昨日までは0.25%の利上げが予想されていたのですが、パウエル議長の発言を受けて市場の利上げ予想は0.50%へと引き上げられました。
この記事では、少し変化が見られた利上げ予想について書いていきます。
この記事のポイント
- パウエル議長がインフレ対策で速いペースの利上げに言及したことで、3月FOMCの利上げ予想は一気に0.5%が優勢になった。
- しかし、2024年からの利下げ予想は変わっていない。
- 市場は2024年1月前後にアメリカで景気後退があると予想しているように見える。
パウエル議長の発言
昨日は、FRBパウエル議長の発言に投資家の注目が集まりました。
内容についてはニュースサイトなどでたくさん取り上げられているので、ここではサラっとだけ触れることにします。
>>パウエル議長、ピーク金利上昇を示唆-必要なら利上げ加速の用意(ブルームバーグ)
大事な点は(1)経済データ次第でより速いペースでの利上げもあり得る、(2)もともと考えていたよりも金利の最高水準は高くなるかも知れないという2点だと思います。
要するに「もっと引き締めなければいけないかも」と言っているのですが、金融引き締めは株価を下げる力があるので、昨日は株価が売られる日となりました。
市場は3月に0.5%の利上げを予想
パウエル議長が「早いペースでの利上げ」について発言したことで、市場の投資家の3月の利上げ予想にも変化が見られました。
ここで言う早いペースというのは、1回の利上げ幅が0.25%ではなく、0.50%になることを意味します。
3月のFOMCでの市場の利上げ予想は前日まで0.25%だったのですが、パウエル議長の発言の後には0.50%が優勢となりました。
また、パウエル議長の「金利の最高水準が高くなる可能性」の発言もあったためか、3月だけではなく全体的に利上げ予想が引き上げられています。
ただ、上の図を見て「利上げ予想の引き上げ」だけではなく、もう一つ自然と気になってくる無視できない点があると思います。
2024年からの利下げです。
パウエル議長の発言があっても、相変わらず2024年1月から立て続けに利下げが始まる予想だけは変わりませんでした。
やはり市場はかなり強い自信を持って「この時期までにインフレは退治できて、政策金利は引き下げられる」と思っているようです。
恐らくなのですが、パウエル議長率いるFRBがインフレを退治してくれることへの信頼ではないです。
企業の業績が悪くなる懸念が出てくると下がるハイイールド債がこの日も下落しているところから判断しても、債券投資家はアメリカの景気悪化(リセッション)を心配しているのだろうと思います。
リセッションの時期はプロでも予想が難しいと言われますが、市場は少なくとも2024年1月までにその時期がくると思っているように見えます。
今後さらに利上げ予想が引き上げられることがあると思いますが、政策金利が高くなればなるほど景気は強く引き締められて、景気後退の可能性は色濃くなるはずです。