昨日の記事では、アメリカは景気後退が少しずつ近づいているものの、まだ米国株が上昇する余地は残されているという記事を書きました。
これからS&P500は2022年1月につけた最高値を超える可能性もあると思います。
それじゃあ、大船に乗ったつもりで米国株に投資していればいいかというと、今年の夏から秋にかけて安心してもいられないと思ってます。
その理由は、株価に悪影響を与える政策金利の引き上げ(利上げ)がこれから急ピッチで進むからです。このままでは利上げに耐えられずに、年内のどこかで米国株を大きく下落に導くと思っています。
この記事のポイント
- 2022年3月時点では、米国株に投資してもまだ問題ないと思っている。
- 問題が起こるとしたら、今年の半ばから後半にかけてアメリカの利上げペースが上がったあと。
- 投資家は2022年に9回の利上げを予想しているが、9回目の利上げが起こる年末までに米国株が利上げに耐えられず大きく下落する恐れがある。
急な利上げを予想する市場
この1-2週間の米国株はだいぶ落ち着きを取り戻し、株価は回復傾向にありました。
値動きだけ見ていると投資家達は楽観的になっているのを感じますが、これから2022年内に何が起こるかに目を向けると、少し心配なことがあります。
3月から始まった政策金利の引き上げが、これから急なペースで次々と繰り返されることです。
もちろんこの利上げは、アメリカで過熱している物価の高騰を押さえるためには必要なものですが、副作用として景気を冷やして株価に悪影響を与える効果もあります。
この記事を書いている3月26日時点で、金利先物市場の動きから推定した投資家の政策金利予想を下にグラフ化しましたが、これから急な利上げが始まると見ているようです。
出典:CME
注目すべきは次の2点です。
- (1)5月と6月共に通常の2回分にあたる0.50%の利上げを予想していること。
- (2)2022年末までに2.25%(9回分)の利上げを予想していること。
まず1点目について、22年5月と6月の金融政策を決める会議(FOMC)では、2017年や2018年の時のような0.25%ずつではなく、一気に2回連続で0.50%(計1.00%)を引き上げると見ているようです。
2022年3月から始まった利上げですが、これから数ヶ月のうちに一気にペースが加速するようです。
政策金利の引き上げすぎによる株価下落の心配
問題があるとすれば、上であげた2点目ほうです。
私は22年末までに2.25%(9回分)を利上げした場合、かなりの高い確率で米国株は耐えきれずに大きく下落すると思っています。
以前このブログでも紹介しましたが、アメリカではこの40年間の毎回の景気サイクルで引き上げられる政策金利は少しずつ低下していきました。
前回の景気サイクルでは2.25%(9回分)までしか上げられなかったので、今回は2.25%よりも低い政策金利までしか上げられない可能性が高いです。
今までの政策金利のグラフで線を引いてみると、今回は約1.8%程度しか上げられないかも知れません。
1.8%までしか上げられない場合、政策金利の引き上げは6回分がセーフです。
(※7回目の利上げが行われると政策金利の実行レートは1.75%〜2.00%となって、1.80%を上回る場合が出ます)
市場の予想では6回分の利上げが行われるのは22年7月、それを超える政策金利の上昇が起こるのが9月です。
このあたりの米国株は警戒が必要かも知れません。
まとめ
昨日の記事では、米国株に「今はまだ」強気な内容を書きました。
一方で、今日の記事では2022年の年内にも大きな株価の下落があるのではないか、と心配する記事をかきました。
具体的には2022年の夏から秋にかけて政策金利の引き上げ過ぎで、株価が下落する場面があるかも知れないと私は警戒しています。