投資家はアメリカのインフレにだいぶ危機感を持っているようです。
市場の投資家の予想では、ついに2022年3月での政策金利引き上げ(利上げ)をうかがう様子まで見えてきました。
数ヶ月前まで2022年12月に1回利上げがあるだけと思われていたのに、「もっと早く利上げをして、高まっている物価の上昇を抑えないといけない」と投資家たちは考えているようです。
急な利上げはインフレだけでなく株価も冷やします。この状況は、米国株にとってもあまり良くない展開です。
この記事のポイント
- 投資家はインフレを警戒して、急速に利上げ予想を早め続けている。
- 22年3月が利上げ開始時期として意識された背景には、FRBが22年3月にテーパリング終了させるかどうかを検討していることがあげられる。
- まもなく発表される11月のアメリカ消費者物価の結果を受けて、利上げ予想はまた変わるかもしれない。
急速に早まる投資家の利上げ予想
このブログではこの数か月、たびたび市場の投資家による利上げ予想を取り上げてきました。
10月15日には、投資家による利上げ予想が2022年12月開始から7月開始へと急速に前倒されたという記事を以下に書きました。
急速に利上げ予想を前倒しする市場の投資家たち
2021年10月に入ってから、市場の投資家たちが急に考えを変えてきています。「アメリカの政策金利の引上げは考えていたよりも、もっと早く始まるはずだ」と見る動きが広まっており、この動きはあまり米国株投資家にとってもよろしくない展開だなと感じてます。
しかし、投資家の利上げ予想の前倒しはそれだけでは終わりませんでした。
わずか数日後の10月18日には、利上げ予想は22年7月から22年6月開始に変わります。
>>米テーパリングは11月開始、利上げは来年6月が有力(10月18日記事)
そして翌月11月には、投資家の利上げ予想は22年5月にまで早まったという記事を書きました。
>>ついに2022年5月にまで早まった市場の利上げ予想(11月25日記事)
そろそろ書いている本人も同じような記事に飽きてきたのですが、最近では2022年3月の利上げ予想が約40%にまで上がっていて、22年3月にも利上げがあるかもしれないという空気が漂い始めています。
投資家の間で22年3月利上げ予想が広まった背景
「どうして、22年3月が利上げ開始の時期として意識されているのか」ですが、22年3月までにFRBによる債券購入は終わらせよう(テーパリングを完了させよう)という意見があるからです。
多くの予想ではテーパリングが完了してから政策金利を引き上げると見られていますが、ウォール・ストリート・ジャーナルによると当初2022年6月のテーパリング終了予定を3月に早めることがFRBで議論されています。
テーパリングが3月に終わるなら、3月から利上げもあり得るだろうというのが最近の市場の投資家の考えのようです。
FRBがテーパリング完了時期を早めるかどうかの議論は、来週12月15日の会議(FOMC)で話し合われる予定です。
さらに、その議論に影響を与えると言われている11月のアメリカの消費者物価の発表が、12月10日に予定されています。
この結果しだいでは3月利上げ予想が多数派に変わったり、反対に3月利上げはないと見る動きが増えたりと動きがありそうなので、注目して見てみたいと思います。
投資家の利上げ予想は、どんなに前倒しされても2022年3月までだろうと信じたいです。