この記事を書いている2021年6月28日時点で、市場は2022年9月からアメリカの政策金利の引き上げが始まると予想しているようです。
CMEのサイトで市場の政策金利引き上げ(利上げ)予想を頻繁に見ているのですが、久しぶりにハッキリとしたシグナルを見ました。
このような予想は中央銀行のFRBの発言一つで大きく変わる上に、かなり先の話なのでまだそれほど警戒しなくて良いと思いますが、2022年9月に利上げされれば2023年の米国株は不調になる恐れがあるかもしれないと頭に入れておこうと思います。
この記事のポイント
- 市場の利上げ予想は2022年9月に50%を超えている。つまり、市場の投資家は22年9月から利上げが始まると予想している。
- 利上げは景気を冷まし、株価の評価を引き下げる効果があるので、利上げが起これば米国株にはマイナス。
- ただし、FRBが利上げをゆっくりと行えば、株価は直ぐに下落するわけではない。
2022年9月の利上げ予想が50%超え
今月、市場の利上げ予想はいくらか早まった模様です。
この記事を書いている時点で、2022年9月のFOMC(アメリカの金融政策を決める会議)までに利上げが始まるという予想は50%を超えています。
つまり、市場の投資家は2022年9月に利上げが始まると見ているようです。
また、22年9月までの利上げ予想確率は53%ですが、22年12月までに利上げが起こる確率を調べてみると73%にもなっています。
ほとんどの投資家は2022年内に利上げが始まると見ているようです。
※市場予想は以下の記事でも解説したCMEのサイトで確認しています。
【CME FedWatchツール】米国金利動向の市場予測の調べ方
ニュースや経済や金融のプロの話を聞いていると「次回のFOMCでは市場は70%の確率で利下げを見込んでいる」だとか、「市場の予測では7月、9月、12月の合計3回の利下げを見込んでいる」など、市場予測の解説を聞いたことがあるかと思います。この記事では市場の金利予想の調べ方を解説します。
利上げは株価に悪影響
利上げは株価に悪い影響が出ると言われてます。
政策金利が上昇すると、(長期金利などの他の金利も上がりやすくなり)企業の資金調達が簡単にできなくなったり、住宅ローンや自動車ローンの負担が大きくなるため、景気が冷やされることになります。
また、金利が上がると企業が将来手にする儲けの評価額が少なくなってしまうので、理論的にも株価にマイナスです。
まだかなり先の話なので利上げを過度に警戒しすぎるのも良くないのですが、気がかりなアメリカの利上げは2022年にも始まりそうです。
利上げをしても直ぐには株価は下がらない
利上げは株価にはマイナスの影響を与えますが、過去の値動きを見ても利上げをしても直ぐには株価は下がっていません。
利上げを決めるFRBも、景気を冷やしすぎないように慎重に利上げを進める場合には、株価が下落するまで数年かかることもあります。
たとえば、前回アメリカで利上げが見られたのは2015年12月から2018年12月にかけてですが、この利上げの悪影響に耐えきれなくなって株価が下落したのは2018年12月でした。
この時期は利上げ開始から約3年間も、米国株は上昇したことになります。
以前、以下の記事でも触れたように、2021年の米国株は前回の利上げ時よりも金融緩和に依存した高値がついていて、利上げが始まると1年足らずに株価が崩れる可能性もありますが、いずれにしろ利上げ開始がすぐに株価下落につながるわけではないと思っています。
金融緩和への依存度が増えている米国株
2021年現在は状況こそ2013年に似ていますが、米国株の国債に対する割高度は2013年ではなく、既に2017年と同程度まで進んでいいます。もしも今後FRBが金融緩和を縮小する動きを見せれば、株が20%近く急落した2018年末のようになるまで1-2年程度しかかからないかもしれません。
まだ過度な警戒はする必要はないはずですが、市場の予想通りに2022年に利上げがあるなら、2023年頃には株価は調整するかもしれないと注意を払いたいと思います。