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ジャクソンホール後に見られた市場の反応

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ジャクソンホールのパウエル議長の講演の後に、株価が下落したことは昨日の記事でもお伝えしました。

>>ジャクソンホールを終えても、米国株には弱気なまま。

株価以外の価格がどのように動いたのかを見てきます。一言でいうと、利上げ継続と景気の悪化を見越したような動きが見られました。

この記事のポイント

  • 短期の国債は売られて金利が上昇し、市場の利上げ予想も引き上げられた。
  • 長期の国債が買われた。しばらく高い政策金利の状態が続くことで、景気が減速することを見込んだ模様。
  • S&P500の恐怖指数VIXは上昇した。2022年は周期的に上下を繰り返しているように見えるが、リスクオフの時期が来た恐れもある。

米国債の動き


まず、パウエル議長がジャクソンホールで公演をした日の国債の動きを見ていきます。すると、国債の年限で異なった動きをしていることがわかります。

上の図を見てみると、短期の国債や中期の国債は売られて短期金利が上昇。反対に、超長期の国債は買われて超長期の金利が低下していることがわかります。

高い金利が長く続くことを反映

この動きの背景にあるのは、パウエル議長の講演の「家計や企業が痛みを伴ったとしても、景気を抑制するレベルの金利をしばらく続ける」という趣旨の発言だと思います。

パウエル議長の話の通りならば、政策金利は市場が予想していたよりも高く引き上げられる可能性があります。これを受けて、まず政策金利の予想が引き上げられました。

短期国債の金利は政策金利に影響を受けやすいので、短期国債も売られて短期金利が高くなっています。

一方で、「高い政策金利は家計や企業が痛んでも続く」と聞いて、景気の鈍化や悪化が心配になった投資家は、景気後退に強い長期国債を購入した模様です。

恐怖指数


株価や金利先物市場の他に、パウエル議長の講演の後に目立って大きく反応したのは恐怖指数VIXです。

この値は8月中旬までの2ヶ月は順調に下がって米国株投資家は強気に転じてきていたのですが、8月中旬から上昇に転じて、パウエル議長の講演を受けて一気に上がった模様です。

このVIXが上昇している時には、米国株S&P500は下落する日が多くなる傾向があるので、VIXの大きな上昇は良い傾向ではないと思います。

加えて、上の図のように2022年のVIXは一度上昇トレンドに転じると2週間から3週間は上昇するパターンが続いているので、ここから9月中旬にかけて2022年に何度も見られた株の下落が再開しないかと心配な状況です。

さいごに


ここまで米国債の利回り、政策金利、VIXと動きを見ていきました。この中で、少し厄介な動きをしているのは政策金利予想とVIXです。

政策金利予想は米国株が底値をつけた6月中旬頃が最近では一番厳しい利上げを予想していたのですが、今はその頃の予想に近づいています。

また、上のグラフでみたようにVIXの上昇トレンドが続いてリスクオフの時期が来たとなれば、今後数週間の株は下がりやすいのだろうと思います。


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