1月もアメリカは順調に景気拡大を続けたという記事を先日書きました。
しかし、製造業に関して言えば別かもしれません。各連銀の景況感アンケートでは1月の製造業の景気は良くなかったことを示しています。各連銀の結果をここでざっと振り返ります。
この記事のポイント
- ニューヨーク連銀の製造業指数は1月に急落した。他の連銀の製造業指数は急落とはいわないまでも前回12月よりは低調な結果に留まっている。
- 今週発表されるISM製造業指数も急落するわけではなさそうだが、恐らく低調な結果になる。
- 製造業は低調だが、雇用が崩れなければまだアメリカの景気は持ちこたえる。これは2023年に見られた動き。
ニューヨーク連銀以外の1月の製造業指数について
少し前に1月のニューヨーク連銀の調査で製造業の景況感が大幅に悪化したという話をしました。
>>【NY連銀製造業指数】1月に大幅に悪化した製造業の景況感
それから2週間ほど経って、ニューヨーク連銀以外の製造業指数が続々と発表されたので結果をざっと見ていきます。
各連銀の1月の製造業指数
- ニューヨーク連銀-43.7(前回-14.5)
- フィラデルフィア連銀:-10.6(前回-12.8)
- リッチモンド連銀:-15(前回-11)
- カンザスシティ連銀:-17(前回-5)
- ダラス連銀:-27.4(前回-10.4)
ざっと眺めてみるとどの数字もマイナスになっていますが、これは前月よりも景況感が悪化していることを示します。また、多くの連銀で前回(12月)よりも今回(1月)の景況指数のほうが悪いようです。
ただ、ニューヨーク連銀の数字を見て心配してたような景況指数の急落は、他の連銀の数字では見られませんでした。
総じて見ると、1月の製造業の景況感は12月より悪くなってしまったが、心配していたほどの急落ではないということになりそうです。
結果から言えること
これらの結果を考えると、今週発表される1月のISM製造業指数もやや低調な結果になると思われます。
そうなるとISM製造業指数に連動すると言われている米国の企業利益もやはり、それほど伸びないのだろうとも思います。
アナリスト予想では2024年は上図の点線のグラフのように、企業利益成長が改善されると見込まれていますが、それが本当に実現可能かは少し疑わしいです。
そして米国企業の利益の幅広い回復がないなら、米国株はまだしばらくAIと半導体頼みの相場が続くことになりそうです。