このサイトに来る皆さんは、株価のチャートが好きな人が多いと思います。少くともチャートが嫌いという人は、そんなにいないと思います。
この記事では、豊富で有能なグラフを多数そろえているmacrotrendsというサイトを紹介します。眺めているだけで興味を引くチャートが多数あるのですが、記事後半では、その中の1つの「1年間のS&P500の動きを16年分比較できるチャート」を使って、少し遊んでみたいと思います。
この記事のポイントはこちらです。
- macrotrendsサイトの紹介
- S&P500の年初来の動きを16年分確認できるグラフの紹介。
- 年初来グラフを見る限り、S&P500の2019年の動きはQE3中の景気拡大期の2013年にも、景気後退前年の2006年にも似ている。これから先、どちらの年に似るかで、待っている未来が真逆になる。
豊富なグラフを無料で提供するmacrotrends
この記事で紹介するのは、macrotrendsというサイトです。
こちらかなり多くの株価に関するグラフが掲載されている有能なサイトなので、時間があるときにどんなものがあるか、ざっと眺めておくことをオススメします。
例えば、別の記事で以下のような、ウォルマートの16年分のPER(割高かどうかを見る数字)のグラフを紹介しましたが、これもmacrotrendsから引用したものです。
ただし、ただグラフを眺めていても「ふーん。で、これがどうしたの?」で終わってしまうこともあると思います。
なので、今回は「S&P500の1年間の動きがわかる1つのグラフ」を取り上げて、グラフから考えを掘り下げる例をお見せしたいと思います。いや、考えを掘り下げるというのは言いすぎですね。S&P500のデータを使った単なる数字あそびをしてみたいと思います。
S&P500の年初来データグラフ
今回取り上げるのは、16年分の好きなS&P500の1年間の動きをグラフに表示できるものです。16年分すべてを表示すると、以下のように何が言いたいかよくわからないグラフが出来上がってしまうので、通常は調べたい年に絞ってグラフを表示させます。
大統領選の前年だけグラフを表示してみる
たとえば、大統領選の前年だけを選択すれば「大統領選の前年はS&P500のリターンが高い」というのは、本当かと検証するのに使えます。
上のグラフが大統領選前年の1年間のリターングラフですが、年後半に失速しているなどの傾向を見ることが出来ます。ただし、再現性のない傾向かもしれませんので、2019年もこれから失速するかは、神のみぞ知る世界です。
2019年のS&P500に最も近い動きは2013年
もう一つだけ、S&P500を使った数字遊びをしてみましょう。この記事を書いている2019年の時点で、どの年のS&P500と一番動きが似ているかという遊びです。
一番近いものをグラフを選び取ると、もっとも近い動きをしているのは2013年で、1年間の動きは2019年とかなり似た動きをしています。
この2013年はアメリカは量的緩和第3弾(QE3)と呼ばれた中央銀行が債権を大量に購入していた年です。2019年もQE3ほどの規模ではないものの、効果が同じ資産拡大プログラムを開始していて、類似性を感じます。
米FRBパウエル議長、資産拡大プログラムを近く発表。効果は量的緩和と同じ。
ただ、私は1月から3月までの上昇率こそ2019年には及ばなかったものの、2006年のグラフの動きも2019年に似ているなと感じています。この2006年は、2019年と同じ様にFRBは利上げを停止し、不況のシグナルと呼ばれる逆イールド現象が発生した年で共通点が多いです。
【解説】12年ぶり発生した景気後退シグナル、逆イールドとは何か。
2019年は景気が上向いてきた2013年と同様にさらなる景気拡大に向かうのか、それとも2006年に似て翌年末に景気後退に向かってしまうのか、どちらに似ているかで両極端な未来になりそうです。