先日はビザの決算を振り返りましたが、この記事ではマスターカードの決算を振り返っていきます。
ビザと同じようにマスターカードも海外旅行や出張費用などからの売上は低迷していて業績回復の途中なのですが、それでもかなり順調に回復の道をたどっているようです。
また、今期の売上は過去最高を記録しています。
マスターカードは新型コロナウイルスの影響を強く受けて最悪期の売上のマイナス成長はビザよりも大きかったのですが、今ではビザよりも大きな業績回復を見せています。
この記事のポイント
- 2021年4-6月期のマスターカードの業績は、売上も一株利益も予想を超える業績だった。今期の売上は過去最高を記録した。
- 2020年当時はビザよりもパンデミックの悪影響は大きかったが、2021年はビザよりも順調に回復しているように見える。
過去最高を記録したマスターカードの売上
今期のマスターカードは、アナリストの予想を上回る好決算でした。
- 売上:45億ドル(予想43.7億ドル)
- 一株利益:1.95ドル(予想1.75ドル)
今回のマスターカードの業績は前年比(成長率)が特に大きく、売上が+36%で一株利益は+43%も伸びていました。
(成長率が大きくなっているのは、前年の2020年が新型コロナウイルスの不況の影響でかなりの不調だったことも大きな要因になっています。)
単位B:10億 | 21Q2 | 前年比 |
---|---|---|
収益 | $4.5B | +36% |
営業利益 | $2.4B | +39% |
一株利益 | $1.95 | +43% |
過去何回かのマスターカードの決算は売上が着実に回復を続けて、ついに今回の決算で四半期売上の最高値を更新するまで回復したようです。
営業利益も売上につられて、大きく伸びています。
売上最高値を更新しても、まだ業績は回復の途中
4-6月期のマスターカードの業績は好調で成長率も大きかったのですが、発表されているデータをよく見てみるとマスターカードの業績回復は道半ばだということがわかってきます。
まず売上の成長率を前年比ではなく、パンデミック前の2019年比で見てみると、この2年間でまだ10%ほどしか売上が成長していないことがわかります。
新型コロナウイルスが流行する前のマスターカードは少なくとも1年で売上は+10%伸びていたので、本来なら2年間で+20%以上は成長していないといけません。
低迷している要因を探るために主なデータを2019年比で見てみると、(海外出張や海外旅行の支払いを含む)国際決済金額が未だに低迷している様子が見えてきます。
国際決済の回復にはパンデミックの収束も必要なため、時間がかかりそうです。
ビザに比べると回復は順調
さて、このブログを頻繁に見ている人は「4-6月期のビザの決算記事でも同じような話をしたな」と思い出したかも知れません。
マスターカードとビザはかなり似ている企業なので、決算を見る時の視点も必然的に似たような話になります。
そして、似ている企業ということは比較も可能になります。
最後にビザとマスターカードを比べて、パンデミック後にどちらが順調に業績を回復させているかを確認していきたいと思います。
パンデミック前の2019年同月比で売上成長率をビザとマスターカードで比べてみたのが、次のグラフです。
上の図を見るとわかるのですが、2020年前半こそマスターカードのほうがパンデミックの影響で大きく売上を落としていたのですが、2021年になってからはマスターカードのほうがわずかに順調に業績回復をさせているようです。