少し前にマスターカードの決算が発表されたので、この記事振り返っておきたいと思います。
4-6月期の業績は経済が大きく落ち込み、マスターカードの業績にも影を落としましたが、予想されたほどの業績の悪化は免れたようです。
この銘柄は本当に決算のたびに、予想を超える成績を発表して株価上昇を続けることで有名です。しかし、投資家は早くも業績は回復することをほぼ完全に株価に反映させているのか、最高値からわずかに約5%下がったところまで上昇しています。
同じ決済企業のライバルのVisaと比べても、マスターカードには割高感がみられるかなと感じます。
- マスターカードは収益・利益ともに前年よりも大きく落ち込んだが、アナリストの事前予想は超えた。
- 14四半期連続で予想を超える決算になり、そのたびに株価は上昇している。
- マスターカードの月別のカード利用実績を見ると、たしかに4-6月は月が進むにつれて回復傾向にある。
- しかし、株価は完全に業績回復を見越した価格がついてるので、割高な状態にある。
2020年4-6月決算
今期のマスターカードの決算は、利益も収益も大きく減少しました。しかし、予想していたほど悪い決算ではなかったようで、アナリスト予想を超えています。
- 一株利益:1.41ドルで、予想を0.25ドル上回る。
- 調整後一株利益:1.36ドルで、予想を0.18ドル上回る。
- 収益:33億ドルで、予想を0.4億ドル上回る(前年比マイナス19.5%)
単位:10億ドル | 2Q20 | 前年比 |
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収益 | $3.3B | -19% |
営業利益 | $1.7B | -29% |
純利益 | $1.4B | -30% |
(調整後)一株利益 | $1.41 | -30% |
上の収益と利益のグラフを見ても、たしかに今期は大き利益も収益も減少していますが、それでも予想していたほどの業績悪化は食い止めるところは、さすがです。
マスターカードの決算はいつも予想を超えてきます。16年第4四半期(10-12月期)に予想を下回る決算を出したのを最後に、14回連続してアナリスト予想を超える決算を連発しています。
予想超えのたびに、決算後に株価を上げてきたので、結果的にこの銘柄は右肩上がりに上昇しています。
4-6月で最悪期を抜けたマスターカード
多くの他の企業と同様に、恐らくマスターカードも4-6月で最悪期を抜けた可能性があると思います。
決済金額・決済処理回数・国債間決済などマスターカードが重要視している業績の数字は、大きく低迷した4月に底を打って回復基調にあるようです。
また消費の回復はアメリカの消費者が牽引したようで、他の地域の決済金額を比較するとアメリカの回復が早かったことがわかります。
上のグラフをみて6月にはアメリカの決済金額は前年比プラスに転じていて、「なんだ。もうすっかりアメリカの景気は回復傾向ではないか」と思うかも知れません。
たしかに、回復傾向にあることは間違いないです。ただ、1年前の決済金額の成長率は世界全体で15%前後あったことを考えると実はまだまだ回復の途上にあることがわかります。
業績の回復を織り込んだ株価
しかし、株価はかなり回復して最高値からマイナス5%のところまで戻して、ほぼ完全に業績の回復を織り込んでいます。
他の多くの株と同じようにマスターカードも割高なようです。割高感が増すと値が大きくなるPERと呼ばれる数字を見ても、例年と比べてかなり大きな数字になっています。
マスターカードは良い企業だと思いますが、今は積極的に手を出すには価格が上がりすぎている気がしています。