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次の雇用統計では平均時給の伸びに注目しています。

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今週はアメリカの2月の雇用統計の発表が予定されています。

雇用に関するデータは雇用数の増加、失業率、平均時給など様々なデータがありますが、どれに注目するのがいいのでしょうか。

あくまでも私の見方ですが、平均時給が上がるか否かが中長期の投資家目線では重要なのではないかと思っています。

この記事では、多くの投資家が驚いた2月3日の前回のアメリカ雇用統計の読み方をおさらいして、平均賃金の伸びが重要になる理由を書いていきます。

この記事のポイント

  • 2月の雇用統計では働き手が増えて雇用者が大きく増加したが、平均時給は大きく増えなかった。
  • 企業にとっては「時給を増やさないでも、多くの人が雇える」良い状況だった。
  • 今の時期に株や国債を買っている人はアメリカのインフレが収束するストーリーを持っている。雇用が伸びても、平均時給が伸びなければ大きなストーリー変更は必要ない。

前回の雇用統計の振り返り

2月3日に発表されたアメリカの1月雇用統計は、予想をはるかに上回って雇用者数が伸びていたことに多くの投資家が驚きました。

しかし、それからしばらく時間がたって冷静に数字が見れるようになると、(少なくとも私の中では)数字の見え方が違って見えるものがあります。

まずは、前回の雇用統計の数字を確認してみましょう。

  • 非農業部門雇用者:+51.7万人(予想+19.0万人)
  • 失業率:3.4%(予想3.6%)
  • 平均時給:前月比+0.3%(予想0.3%)

雇用増加数は大きいのですが、その割には平均時給の伸びは大きくありません。

これは企業(や企業の所有者である株主)にとっては良い結果だったと思います。「あまり時給を上げなくても、欲しい人材が雇えた」となるからです。

労働市場に帰ってきた人々

時給を上げなくても多くの人が雇えたカラクリは、働きに出る人が増えたからです。

1月のアメリカは労働力(働き手)が86.6万人も増えて、過去12ヶ月で最大の伸びを記録していました。

物価が上がって貯蓄が減る中で、仕方なく再び働きに出た人も一定数いると思われます。

2023年にも新型コロナ流行後に蓄えられた過剰貯蓄がなくなると言われていて、なおかつ(下図のデータは少し古いですが)可処分所得に占める負債の支払いの割合は増えています。

大事なのは平均時給

さて、さきほど1月の雇用は企業にとって「あまり時給を上げなくても、欲しい人材が雇えた」という状況だと言いました。

この状況は、雇用者が増えて景気拡大が続く分インフレ収束までの時間を長期化してしまうものの、時給の伸びは抑えられているので2022年夏のような高いインフレに逆戻りする心配はないと意味では良かったかも知れないと私は考えています。

1月の平均時給は前月比+0.3%で、これは近年の中ではそれほど高くない(過度なインフレの心配がない)水準だと思います。

今、米国株を買っている人も米国債を買っている人も、アメリカのインフレが解決することを見越して投資をしています。

1月の雇用では雇用者があまりにも強かったので、インフレ収束見通しが後ろに伸びて(利上げ停止時期や利下げ開始時期が後ろに伸びて)株も米国債も売られましたが、それでもアメリカがインフレ収束に向かっているという認識を市場は変わらずに持っているように見えます。

その証拠に、2024年には利下げが何度も行われる予想が市場の投資家の間で見られます。

>>【市場予想】2024年のアメリカでは次々と利下げが起こる。

今週発表される雇用統計でも再び働き手が増えて雇用者が大きく増加するかも知れませんが、平均時給の伸びが大きく伸びていなければ、インフレ収束の基本ストーリーは崩れていないと見て良さそうです。


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