自分以上に経済感覚が良い人の意見に耳を傾ける
長らくこのブログを読んでいる人はならば、私が短期的な予想をよく外すことを、既に知っているかも知れません。
ええ。もちろん私自身もそれはよく分かっていますよ。こう見えても、自分とは生まれてから何十年もの付き合いなんで、得手不得手くらい分かっています。
それが分かっているから「次のアメリカの景気後退がいつ来るのか」「今のアメリカがどこまで景気減速をしているのか」という重要なことは、自分で予想するよりも、明らかに私よりも経済感覚が優れている人の意見を聴くようにしています。
先日、レイ・ダリオが「アメリカの景気後退は2020年大統領選前に40%の確率で起こる」と言っていた言葉を記事にしたのも、私がサブプライム・リーマン・ショック時代の景気後退に投資家デビューをしていきなり資産を減らしていた一方で、彼はうまく危機を回避した実績があったからです。
レイ・ダリオ「2020年大統領選前に景気後退する確率は40%」
もちろん、専門家であっても予想は外すと思いますが、自分よりずっと世界をクリアに見通せていて、うまく立ち回る術も知っている人ならば、参考にできる要素は多分にあると思っています。
トランプ大統領、大手銀CEOの声に耳を傾ける
そして2019年は何かと話題の中心にいるトランプ大統領ですが、この人も自分より詳しい人に耳を傾けるということをしているようです。
逆イールド現象が発生して今年最大の下げ幅を記録した8月14日に、トランプ大統領はJPモルガン・チェース、バンク・オブ・アメリカ、シティグループのCEOらと緊急で20分ほど電話協議をしたようです。
CEOらは次のような内容を話し、トランプ大統領はそれを注意深く聞き入れていたと言います。
- 現状のアメリカの消費は健全。しかし、米中貿易戦争が解決されていれば更に良くなる余地があった。
- 米中貿易戦争は、将来の見通しを不透明にさせるために、企業の設備投資を縮小させている。
その翌日に、トランプ大統領が「中国との貿易協議はかなり短期で済む見通し」と発言したのは、この大手銀行CEO達の発言が無関係ではないはずです。アメリカ企業の設備投資を縮小させないことを意識した発言だったかも知れません。
市場の注目が集まる23日パウエル議長講演
さて、あのトランプ大統領も大手銀行CEOの意見に真摯に耳を傾けていますが、今世界の投資家と金融業界関係者は、今この人の発言に注目が集まっています。
8月23日ワイオミング州ジャクソンホールのシンポジウムで講演予定のFRBパウエル議長です。今年のシンポジウムのテーマは「金融政策への課題」と、この課題まみれの2019年に最適なテーマ選定です。
FRBがパウエル議長の講演実施を発表してから本番までの1週間、世界の投資家は丁寧に耳を掃除し、普段はやらない座禅やヨガで心を研ぎ澄まして、心身ともに万全の状態に仕上げて講演に傾聴するでしょう。
まぁ、そこまでやったところで投資成績は変わらないのですが、これから世界とアメリカの経済の今の課題、それに対してFRBがどう対処しようとしているのかを聴くにはこれとないチャンスになるはずです。