今月もアメリカの景気先行指数が発表されました。
今月は約2年ぶりに景気先行指数が前年比でプラスに転じて、アメリカ経済の先行きにわずかに明かりが灯りました。
しかし、消費者は債務を増やして消費を続けている傾向が一部では見られています。
そのような消費は長続きしないため、今年のどこかで消費が鈍る懸念点もあります。
この記事のポイント
- アメリカの景気先行指数は約2年ぶりに前月比マイナス成長を抜け出した。
- カンファレンスボードはすでにアメリカの景気後退を予想していないが、それでも第2四半期と第3四半期にGDP成長率の鈍化が見られると予想。
- 個人の債務は積み上がっており、それが消費の伸びを鈍化させる恐れがある。
アメリカ景気先行指数は2年ぶりの前月比プラス
2月のアメリカ景気先行指数は予想外のプラスとなりました。
- 予想:マイナス0.3%
- 結果:プラス0.1%
- 前回:マイナス0.4%
このデータはアメリカの今後の景気の強さを示す数字です。
2022年前半からずっと前月比マイナスが続いていましたが、今月ようやくマイナスの長いトンネルを抜け出したようです。
今月は以下の内訳を見ても、幅広い分野で前年比でプラスの(青線が右に触れている)項目が見られます。
今月はS&P500、貸出、建設許可件数、週平均労働時間の増加が、景気先行指数のプラスに貢献したようです。
2024年第2四半期と第3四半期について
発表元のカンファレンスボードはすでにアメリカの景気後退予想は取り下げたものの、まだ景気を楽観視しているわけではないようです。
2月に(景気先行指数が)上昇したかかわらず、今後のアメリカの成長には逆風が吹くことを示している。消費者債務の増加と金利上昇が個人消費を圧迫するので、2024年第2四半期から第3四半期にかけてアメリカの実質GDP成長率は鈍化するだろうと、われわれは予想している。
このコメントにもあるように、増え続けている消費者の債務は少しずつ消費の余力を奪っています。
債務の負担は、特に信用の低い消費者にとって厳しいものになっているようです。
次のグラフはアメリカでのクレジットカードの延滞率です。
全銀行ではまだまだ低水準にとどまっているものの、信用の低い消費者が利用しているであろう中小規模の銀行では延滞率が過去30年間でも最も高くなっています。
このような状況では、消費がいくらか鈍化することは避けられないだろうと思われます。
そして、景気先行指数の発表元のカンファレンスボードはしばらく前からアメリカの景気後退の予想を取り下げましたが、私はまだ油断はしてはいけないと思っています。
景気後退になるためには雇用が悪化する必要がありますが、じわりと失業率が上がっている傾向が見られるからです。
今後ともに個人消費と失業率には注意を払って見ていく必要があり、どちらかが崩れるとアメリカの景気後退はグッと近づくと思っています。