今のアメリカ経済は難しい局面です。そのせいで米国株の投資も判断が難しい時期が続いているように見えます。
株式投資家はかなり楽観的に見ているようにようですし、一部の投資家からは銀行の混乱も乗り越えたという見方が聞こえますが、私はそんな気分にはなれません。
アメリカの今後の景気の先行きを示すデータが4月20日にカンファレンスボードから発表がありましたが、今月もそのデータはかなりボロボロでした。
この結果を受けて、カンファレンスボードは改めて2023年半ばのリセッション(景気後退)入りを予想しています。
この記事のポイント
- 3月のアメリカ景気先行指数は予想を大きく下回った。
- 景気先行指数は1年間もマイナスを記録し、リセッションが不可避だと言っているようにも見える。
- また、カンファレンスボードは2023年半ばにアメリカはリセッションに突入すると改めて予想した。
低調だったアメリカ景気先行指数
カンファレンスボードという団体は、他の経済指標や市場のデータをまとめてアメリカ経済の今後の見通しを景気先行指数として数値化して発表しています。
今月も景気先行指数が発表されましたが、3月のデータは予想よりもかなり悪かったです。
- 予想:マイナス0.7%
- 結果:マイナス1.2%
- 前回:マイナス0.3%からマイナス0.5%へ下方修正
この数字の味方はプラスなら景気見通し良好、マイナスなら見通し不良というシンプルなものになっています。
4ヶ月マイナスが続くと高い確率でその後にリセッションが訪れるというデータがあったのですが、今回は既に1年もマイナスが続いています。
- 1959年以降、3ヶ月連続で前月比マイナスを記録した12回のうち8回で、半年以内にリセッション(67%)。
- 1959年以降、4ヶ月連続で前月比マイナスを記録した8回のうち7回で、半年以内にリセッション(88%)。
よって、この数字が訴えているものとしては「アメリカの先行きはまだまだ暗い」「リセッションは不可避」ということになりそうです。
2023年の半ばのリセッション突入を予想するカンファレンスボード
カンファレンズボードは今回の景気先行指数のプレスリリースで、アメリカのリセッション入りの時期についてコメントしています。
カンファレンスボードは予想では、今後数ヶ月でアメリカ経済は弱くなり、その動きがますます広域に広がって、2023年半ばのリセッション突入を招くと見ている。
2023年半ばのりセッション突入となると、5月から7月あたりになるのでしょうか。そうなれば、今の金利先物市場が予想している9月利下げ予想ともだいたい辻褄があいます。
株式市場は楽観視しているが
銀行の混乱も収まり、決算もそこそこ良い結果を出す企業も多かったことで、最近では一部の投資家から安堵と楽観が見られます。
小型株ラッセル2000(黄色)と銀行株(水色)は株価の低迷が続いていますが、米国株S&P500(青)はシリコンバレーバンクの混乱前の水準を超えて上昇しています。
この値動きを踏まえると、今のところの株式市場は「一部の銀行株や資金力に問題がある小型株はダメ。でも米国株全体は問題ない」という見方をしているように見えます。
ただ、金利先物市場やカンファレンスボードの動きを見ていると、まだ楽観は早いと思ってしまいます。
2022年から続いた金融引き締めは時間をかけてアメリカの景気を冷やすので、2023年後半から2024年にかけてアメリカ経済も株も厳しい時期をどこかで経験すると思っています。