ここでは2022年から毎月のように確認してきたアメリカの景気先行指数について書いていきます。
この景気先行指数は過去にアメリカのリセッション(景気後退)の到来を正確に予想してきたことで有名です。
タイトルにも書きましたが、景気先行指数を発表しているカンファレンスボードはアメリカの景気後退は近いと考えているようです。
この記事のポイント
- アメリカの景気先行指標は11ヶ月連続でマイナスを記録した。
- 4ヶ月連続でマイナスを記録するとリセッションシグナルが点灯すると言ってきたが、既にアメリカのリセッション突入はほぼ確定だと思われる。
- アメリカのリセッションの時期について、カンファレンスボードは「近い将来」と発言している。
低迷が続く景気先行指数
景気先行指数は、製造業の新規受注などの将来の景気の強さを示す経済指標に加えて株価や長短金利差などの市場のデータも元にして今後のアメリカ経済の強さを数値化したものです。
この数字はマイナスが続くとアメリカの景気が悪化することを示唆するのですが、今月発表された2月分もマイナスを記録しました。
- 予想:前月比マイナス0.2%
- 結果:前月比マイナス0.3%
これで景気先行指数は11ヶ月連続で前月比でマイナスを記録したことになります。「4ヶ月連続でマイナスになったら、過去8回中7回でリセッションになる」と書いていた時期が懐かしいです。
>>アメリカの景気後退確率について【22年8月景気先行指標】
この数字を見るかぎり、今後のアメリカの景気後退は不可避なのだろうと思います。
カンファレンスボードは近い将来のリセッションを予想
問題はアメリカのりセッションがどれだけ近づいているのかです。カンファレンスボードは声明文で「近い将来に」、それは訪れると言っています。
この数ヶ月の景気先行指標は前月比のマイナスは小さくなっています。しかし、それでもアメリカ経済がリセッションに陥るリスクがあることを未だに示しつづけています。最近起こった銀行業界の混乱は、景気先行指標のデータには反映されていませんが、この状況が続くなら経済見通しに悪い影響が出るかも知れません。
全体として、政策金利の引き上げと消費の減少が近い将来にアメリカ経済をリセッションに追い込む可能性が非常に高いとカンファレンスボードは予想しています。
カンファレンスボード
カンファレンスボードいわく、政策金利の引き下げと消費の減少がアメリカの景気後退を引き起こすと見ているとようです。
政策金利の引き上げは市場予想ではわずかあと1回ですが、恐らくカンファレンスボードは2022年から今までのハイペースな利上げの累積効果でリセッションになると言っているのでしょう。
政策金利の引き上げられれば、企業に貸し出す際の金利も高くなります。それにより企業の投資は抑えられ、資金に苦しむ企業は人員削減をして、家計の消費を冷やすことになります。
この流れはすぐには起こらないので2022年のうちはアメリカの景気は持ちこたえましたが、カンファレンスボードの言うように、利上げから1年経ってそろそろアメリカ経済を押し下げる力が働き始めるのかも知れません。
リセッションに入るかどうかの境目は雇用だと私は思います。実は2月の民間雇用統計(下図)では小規模な企業は既に人員削減を勧めていることがわかりましたが、この動きが中型から大型企業に広がるとリセッションへのカウントダウンが始まると思います。