カンファレンスボードが発表しているアメリカの景気先行指数が今月も発表されました。
この景気先行指数は株価や債権利回りなどの市場データだけでなく、製造業の新規受注や労働時間などの先行きを占うような経済指標をいくつも組み合わせて、今後のアメリカの景気を数値化したものです。
8月のデータを使った先行指数が昨晩発表されましたが、やはり前月比マイナスで先行きの暗い結果となりました。
この記事のポイント
- 景気先行指数は今月も前月比マイナスを記録した。これで、約1年半連続して前月比マイナスとなった。
- カンファレンスボードは2024年は「成長が厳しい時期(a challenging growth period)」に突入し景気後退になりうると警告した。
低迷する景気先行指数
冒頭でも話した通り、8月もアメリカ景気先行指数は良くなかったです。
- 予想:マイナス0.5%
- 結果:マイナス0.4%
- 前回:マイナス0.4%からマイナス0.3%に上方修正
良かったことといえば、予想よりは悪くなかったということでしょうか。
このデータは基本的にマイナスになるとアメリカの景気の先行きが悪いという見方をしますが、すでに17ヶ月連続(約1年半連続)でマイナスを記録しています。
以下の図はカンファレンスボードから発表されたものですが、景気先行指数の前年比(青線)はすでに過去にリセッションがあった水準にまで低下しています。
そうは言っても、まだまだアメリカは強い個人消費や雇用を背景にまだ景気拡大が続いているのですが、カンファレンスボードは2024年にはアメリカはリセッションになりうると警告しています。
8月の低下で、景気先行指数は約1年半連続で前月比マイナスを記録した。経済の成長が難しい時期に向かっていることを意味しており、来年を通じて景気後退の可能性があることを示している。
要するにカンファレンスボードは、これだけ景気先行指数がずっと悪いんだから2024年くらいにはちゃんと景気が悪い時期は来るよと言っています。
それでも次の景気後退はそれほど大規模にはならずに、短期間でマイルドなリセッションを予想ているようです。
…これらすべての要因は、今後の経済活動が減速し、短期間ではあるが穏やかな収縮経済収縮をることを示唆している。コンファレンス・ボードは、2023年に実質GDP+2.2%だが、2024年には0.8%に低下すると予想している。
このように景気先行指数を発表しているカンファレンスボードですが、実はすでに1年以上もアメリカの景気後退を予想し続けています。
今までのリセッションが起こらなかった要因は、コロナ時に配られた現金給付のおかげなのか、それともコロナで進んだ人材不足の環境のせいで失業率が上がらなかったのか、はっきりとりた理由はわかりません。
しかし、そのどちらかが影響していたとすれば、どちらもあと数ヶ月で効果が切れるところまで来ています。
>>雇用は弱まっているが、アメリカの失業者に目立った増加はまだ見られない。
現金給付による過剰貯蓄は第3四半期か第4四半期にはなくなると言われており、求人率もおそらく2024年3月頃にはコロナ前の水準に戻るはずです。
私はアメリカのリセッションは到来が遅れただけで、回避できたとはまだ思っていません。いずれ来るのだろうと思っているので、その時をじっと待ちたいと思います。