あまり話題にしている人は多くないのですが、アメリカの景気先行指標を取り上げたいと思います。
景気後退がいつ起こるのかを当てるのは難しいのですが、早ければ2022年の年末にもアメリカに景気後退が来るかも知れません。
(少しでも当たる確率が高い予想をするなら2023年前半、攻めの予想なら2022年末に景気後退という感じです)
9月分のアメリカ景気先行指標のコメントで、発表元のカンファレンスボードは「年末までの景気後退の確率は高まった可能性がある」と言っています。
この記事のポイント
- アメリカの景気先行指標は前月比で再びマイナスを記録した。
- 景気先行指標のプレスリリースでは「2022年の年末までの景気後退の可能性は高まっている」と指摘
2022年末までの景気後退の可能性高まる
景気後退が来る前にシグナルを発する経済指標はいくつかありますが、アメリカの景気先行指標もその1つです。
アメリカの景気後退が始まる前には、ほとんどの場合で景気先行指標が大きく下落する動きが見られました。
そして、昨日発表された9月の景気先行指標は前月比でまたもマイナスを記録し、低下傾向が続いていたことがわかりました。
- 予想:マイナス0.3%
- 結果:マイナス0.4%(前回マイナス0.3%)
前回よりもマイナス幅が大きいので、景気先行指標は低下の勢い増していることもわかります。
また、景気先行指標の数字をプレスリリースで確認していると気になる文言が目につきます。
アメリカの景気先行指標は9月も再び低下した。最近の数ヶ月で低下が続いている傾向は、景気後退が年末前に訪れる可能性が高まったかも知れないことを示している。
2022年の上半期のアメリカは実質GDPはマイナス成長だったものの、雇用が強かったり、企業は(名目で)売上を伸ばして好決算が見られたりと景気後退らしさはありませんでした。
景気先行指標の発表元のカンファレンスボードは下半期は景気が盛り返して、2022年の通年ではアメリカの実質GDPは前年比プラス1.5%で終えると予想しているようですが、それでも早ければ2022年が終わる前に景気後退が来るかも知れないと警鐘を鳴らしています。
景気後退が来るまでの期間
上のグラフを見てると、景気先行指標が低下を始めてから景気後退になるまでに時間がある場合もあるのに、なぜ今回はそれほど早く景気後退が来るのだろうと疑問に思うかも知れません。
景気先行指標はいろいろと深堀りされていて、まずこんなデータがあります。
米景気先行指標と景気後退
- 1959年以降、3ヶ月連続で前月比マイナスを記録した12回のうち8回で、半年以内にリセッション(67%)。
- 1959年以降、4ヶ月連続で前月比マイナスを記録した8回のうち7回で、半年以内にリセッション(88%)。
既に2022年4月から6ヶ月連続で前月比マイナスを記録しているので、このデータを信頼するなら2022年内にアメリカが景気後退になる確率が67%、2023年1月までに景気後退になる確率は87%になるようです。
さらに、過去6ヶ月間の景気先行指標の変化と景気後退の関係を下の図で見てみると、既にあと数ヶ月で景気後退に入ってもおかしくないほど景気先行指標の下落が進んでいます。
未だに強い雇用などを見ていると年末までのあと2ヶ月半で景気後退が来る気配はないのですが、データの上ではそろそろ警戒する時期に入ってきているようです。