このブログでは毎月発表されるアメリカの景気先行指標を追いかけています。
現在は既に12月なのにアメリカの雇用は強いままなので、さすがに発表元のカンファレンスボードの言葉から「2022年内に景気後退に陥っている可能性がある」という言葉は消えましたが、それでも2023年はじめから中旬までにアメリカが景気後退になるシナリオは変えていないようです。
この記事のポイント
- 11月の景気先行指標は前月よりもさらに悪化した。景気先行指標はいくつかのデータをもとに計算されるが、プラスに寄与したデータは株価だけだった。
- カンファレンスボードは2023年始から2023年半ばにかけてアメリカの景気後退が訪れると発言。
- 2023年は年始から4月頃まで株価下落に警戒、それ以降は投資のチャンスを伺う時期になると思っている。
景気先行指標は悪化の一途
11月のアメリカの景気先行指標の数字を確認したいと思います。
前月もかなりアメリカ経済に悲観的な話をしたのですが、今回発表された数字は前月よりもひどいものでした。
- 予想:マイナス0.4%
- 結果:マイナス1.0%
- 前月:マイナス0.8%からマイナス0.9%に下方修正
この結果がマイナスに振れると、今後のアメリカ経済が景気悪化する兆候が現れていると見ます。そして、下のグラフをみると分かるように2022年の景気先行指標はほとんどの期間でマイナスに陥りました。
この景気先行指標は多くのデータを元に集計されているのですが、多くのデータの中でプラスに寄与したのは株価のみとなっています。
景気後退シグナルは点灯継続
また、過去6ヶ月間の景気先行指標の成長率が年率マイナス5%を下回ると「強い景気後退のシグナルが出ている」と見ましょうとデータ発表元のカンファレンスボードは注意喚起をするのですが、既にシグナルは数ヶ月前から点灯しっぱなしです。
恐らくですが、2023年にアメリカが景気後退になるのは不可避だと思われます。
まだアメリカの景気が持ちこたえているのは個人消費が好調だからですが、企業が雇用を縮小し始めたらその後はかなり早く景気は悪化するはずです。
カンファレンスボードの見解
1ヶ月前のカンファレンスボードの声明文では既にアメリカが景気後退に入っている可能性もあると言っていましたが、少しだけ意見を変更しているようなので、そちらも見てみます。
アメリカの労働市場はまだ強く、12月の消費者の景況感も改善しているが、(特に住宅市場などの)経済活動を考慮すればFRBは金融引き締めを切り上げる時期が迫っていると景気先行指標は示している。結論として我々カンファレンスボードは、アメリカの景気後退が2023年は序盤から始まって年半ばまで続くとみている。
今回のカンファレンスボードの声明文では、さすがに2022年内の景気後退の可能性は触れませんでしたが、やはり2023年はじめの景気後退入りが目前に迫っているという危機感を持っているようです。
また、次の景気後退は2023年半ばまでという見方も、現時点ではたしかにそうだろうなと思います。
別の数字を見ても、半年後には見通しが改善しているというデータがいくつか見られるからです。例えば、フィラデルフィア連銀の半年後の新規受注の見通しは既に改善しており、この通りなら2023年4月にはS&P500の一株利益は上向いて、株価も底打ちをするかも知れません。
>>【関連記事】S&P500の一株利益、2023年4月に底打ちする可能性
現時点では2023年は年始から4月頃までは要警戒、その後は投資のチャンスを伺う時期になると思っています。