アメリカ景気先行指標の2019年11月版が発表されました。名前からも分かるように、今後のアメリカの景気を占う重要な数字です。
実はこの指標は、前月まで3ヶ月連続で減少していて景気後退への黄色信号が灯っていました。
もしも11月分の数字も悪化した場合には、過去のデータからすると88%の確率で半年以内に景気後退入りするところだったのですが、ギリギリのところでこのピンチを回避しました。
この記事のポイント
- コンファレンスボードが発表した米景気先行指標(11月分)は、前月と同じ111.6だった。
- 米国景気先行指標は10月まで3ヶ月連続で減少していた。もしも過去4ヶ月連続になった場合、過去8回中7回(88%の確率)で半年以内に景気後退していた。11月は前月と変わらない結果で、景気後退へのレッドランプの点灯を阻止した。
- ただし、景気先行指標は改定されることもある。まだ翌月の修正値に発表にも注意が必要。
米景気先行指標とは
まず、「そもそもアメリカの景気先行指標って何だ」と思う人もいると思うので、簡単にこの数字の紹介をします。
景気先行指標(LEI)は、米国の経済団体や労働組合が作っているコンファレンスボードという組織が集計している数字です。
製造業の新規受注数、S&P500の株価指数、長短金利差などのデータを使って計算し、アメリカの今後の景気を占う数字として発表しています。
この景気先行指標はかなり正確に、過去のアメリカの景気後退のタイミングを言い当てていることで有名です。景気先行指標はピークをつけてから、およそ7ヶ月から20ヶ月下落を続けると景気後退に突入しています。
出典:「Advisor Perspectives」
そして、2019年のLEIは7月をピークに下落を続けています。
景気後退に黄色信号が点灯していた2019年10月版LEI
ここでもう少しだけ、景気後退(LEI)に関するデータを紹介します。
過去60年間のデータ調べると、LEIが3ヶ月連続で下落した場合には、64%で半年以内に景気後退入り。さらに4ヶ月連続で下落した場合には88%で今後6ヶ月以内に景気後退入りするというジンクスがあります。
そして、LEIは2019年11月発表された10月版の時点で、すでに3ヶ月連続でLEIが下落していました。
【2019年10月米景気先行指標】2020年米経済にリセッションの黄色信号
2019年アメリカ株は絶好調ですが、そろそろ景気後退の警戒をしたほうがいいかもしれません。アメリカの景気先行指標は3ヶ月連続で低下して、黄色信号を点灯始めました。過去3ヶ月連続低下した場合は、64%で半年以内に景気後退しています。
もしも、次もLEIが下落すれば、88%の確率で6ヶ月以内にアメリカが景気後退するという局面で、LEIが発表されました。
2019年11月の景気先行指標
さて、注目が集まった11月版LEIでしたが、結果は10月と変わらない結果でした。
2019年11月の米景気先行指標
- 結果:0.1ポイント上昇の予想は下回る、前月と変わらない結果。(ただし、4ヶ月連続悪化を免れる)
4ヶ月連続の下落をかろうじて阻止して、景気後退のジンクスを回避しています。ただ、このLEIは翌月に頻繁にデータの修正を行います。来月の発表で11月分データの修正が入るかも知れないので、まだ余談を許さない展開です。
一方で、景気先行指標を発表してるコンファレンスボードは、2020年のアメリカ経済は2%程度の安定した経済成長を続けると楽観的な見方を示しています。
なので、次回の修正は下方修正ではなく、上方修正の場合も大いに有り得ると思います。LEIが上向くにしろ、下向くにしろ今後もしばらく目が話せない指標になりそうです。