2019年3Qのコカコーラの決算発表がありました。良い決算だったという評価を受けています。特に、ウェルズ・ファーゴのアナリストは「コカ・コーラの予想を上回る売上高に非常に感銘を受けた」と絶賛しています。
- 一株利益:予想に一致する56セント。
- 収益:予想94億ドルのところ、予想を上回る95億ドル(前年比8%増)
決算発表後にコカコーラの株価が2%以上あがったので、市場も評価をしていることがわかります。なので、良い決算だったことは間違いないし、私もこの銘柄は長年安定してリターンを得たい長期投資家への「買い推奨銘柄」だと思っています。
ただ、この記事の後半でも触れますが、私個人としてはコカコーラくらいブランド力があるならもう少し頑張ってほしいところが、いくつかあります。一番気になるのは、買収製品を含まない売上上昇率が前期よりも鈍化していて、ノンアルコール飲料市場の拡大ペーストほぼ同じになっている点です。
少し厳し目に言えば、既存製品の売上上昇率が微妙だったと思っています。長年コカコーラ株を持っている身としては、良い決算だったものの、もう少し奮起してほしいと感じました。
好調の要因、ピタリとハマった北米の戦略
近年の健康志向の高まりを受けて、コカコーラは先進国では「カロリーオフ」と「ボトルの小型化」を進めています。そもそも本当の健康志向の人はコカコーラを飲まないのでしょうが、カロリーオフや小型缶なら罪悪感が少ないこともあって、北米で売上を伸ばしています。
北米でCoke Zero Sugarの売上は2桁増加し、小さなサイズ缶の販売は15%増加の伸びを見せた結果、近年売上鈍化で苦しんでいた北米でオーガニック収益*は3%増加しました。(*買収製品を含まない収益のことです。)
また、昨今はプラスティックへのゴミの意識の高まりから、飲料水のペットボトルの売上が鈍化しているそうで、容器の改革も進めていくと話しています。
近年はこうした国と地域によって販売の仕方を変えたり、人々の志向に合わせてプッシュする製品を機敏に変えたりと、工夫が見られます。コカコーラの取り組みはこちらのページでまとめましたが、コカコーラの企業の今の取り組みを知りたい人は一読をオススメします。
【企業分析】コカコーラのビジネス変革と今後の取り組みの全体像
オーガニック収益に若干の物足りなさ
良い決算だったので安心はしていますが、前期の決算も内容が良かったので、実は今回はもう少し良い内容を期待していました。
具体的には、買収の影響を含まない売上(オーガニックセールス)が前期は+6%成長だったので、このペースの維持かそれ以上の数字を密かに期待していたのですが、残念ながら今期は+5%成長に鈍化していました。
そもそも、コカコーラが挑むノンアルコール飲料の市場は世界で+4.2%で成長しているので、オーガニックセールスが+5%増加では物足りないです。コカコーラは長期的売上目標を4-6%成長で置いているので、一般的に5%成長でも良いと見られていますが、コカコーラブランドと市場平均を考えると、できたら6%以上の数字は安定してほしいです。
また、売上は+8%で増加しているにも関わらず、販売管理費などがそれ以上に増えたため、営業利益は前年比マイナス4%で減少しています。これは私個人としては、割といやな数字なのですが、市場はそれほど悪い材料だと見る人は多くありませんでした。
私が把握できていないだけで、大目に見れる要因があるのかもしれませんが、営業利益の悪化はシンプルに良くない数字だと思っています。