コカ・コーラの決算が発表されました。2020年4-6月は世界中の多くのレストランやスタジアムが新型コロナウイルスの影響で閉鎖されていたため、業績はかなり低迷しました。
ただし、アナリストたちが事前に予想ほど業績は悪化せず、株価は決算発表後に上昇しています。
また、コカ・コーラのCEOは「先行きはかなり不透明だが4-6月期がもっとも困難な時期だったと後で分かるだろう」と発言しており、最悪期は脱したと認識を示しました。
4月から6月にかけて世界中の都市で少しずつ規制が解除され、コカ・コーラの販売本数は回復基調にあります。また、コロナの再流行が見られる地域でも、2-4月ほどの業績は落ち込んでいないようです。
この記事のポイント
- コカ・コーラは前期の決算発表で予告していたとおりに、大きく業績が低迷した。しかし、アナリストが事前に予想したほどには悪化しなかった。
- コカ・コーラは第2四半期(4-6月期)が最悪期で、既に脱したと考えている模様。
- 2020年7月時点で多くの米国株はかなり割高だが、コカ・コーラの株はほぼ適正な価格がついている。短期で高いリターンは見込めないが、保有資産の守りを固めて約3.5%の配当利回りを得たいなら、買っても良さそう。
コカ・コーラ株は、今の米国株では珍しく割高感があまりない銘柄だと思います。
短期で高いリターンは望めませんが、今なら妥当な株価で約3.5%の配当が手に入るので、守りを固めたい投資家には最悪期を脱したコカ・コーラはそこそこ良い投資機会になっている気がします。
大きく低迷した2020年4-6月期
コカ・コーラの業績は前年と比べると著しく悪化しました。
- 調整後一株利益:0.42ドルで、予想を0.02ドル上回る。
- 収益:72億ドルで、予想と一致(前年比マイナス28%)
単位:10億ドル | 1Q20 | 前年比 |
---|---|---|
収益 | 7.15 | -28% |
営業収益 | 1.98 | -34% |
営業利益率 | 28% | – |
純利益 | 1.78 | -32% |
売上や利益のグラフを見ても、今期は大きく低迷していることがわかります。
上のグラフを見ても今期の低迷はわかりますが、よりはっきりと低迷を具合を見るために、買収した製品や為替の影響を取り除いた「オーガニックセールス(既存製品売上)」の成長率を見てみたいと思います。
コカ・コーラのオーガニックセールス成長率は普通は一桁半ばで安定していますが、今期はマイナス26%と著しく低迷しました。新型コロナウイルスの都市封鎖で、レストラン・映画館・スタジアムなどの売上が減った影響が大きく響いたようです。
それでも、幸いだったのはアナリストの事前予想ほどは悪化しなかったことです。業績が予想を超えたことで、投資家は株高で反応しました。
コカ・コーラCEO「最悪期は脱した」
この決算で重要な点は、大きな低迷が見られた4月から業績は回復し、既に最悪期を脱したとコカ・コーラのトップが考えていることが明らかになった点です。
決算発表でのCEOの主な発言
- 4月の出荷数は25%減だったが、6月は10%減、7月は一桁の減少にまで回復している。
- 先の見通しは不透明だが、第2四半期(4-6月期)が最も困難で、強く影響を受けた時期だったと後で明らかになると確信している。
- 政府は対応策を学んで賢くなっており、全世界が同時に都市封鎖されるような事態になるとは考えにくい。
- ウイルスが再流行している地域・都市はあるが、業績低迷が2-4月以上に悪化している様子はない。
4月から6月にかけて回復し、6月はおよそ前年に比べて10%減少のところまで来たというのは、バンク・オブ・アメリカやJPモルガンのカード利用金額でも見られた傾向です。
決算シーズン序盤から見えた米消費の傾向。好調なネット消費にもわずかな息切れ
7月中旬から始まった決算シーズンを見る限り、いくつかの傾向が見られている気がします。まだ決算シーズン序盤なので、傾向を一般化するのも早い気がしますが、今見えている傾向をいくつかこのページでまとめておきます。
過去のパンデミックを振り返ると、高い確率で秋以降に第2波が来るようなのですが、それでも全世界での同時都市封鎖を回避できれば、確かにコカ・コーラが言うように4-6月で最悪期を脱した可能性もあります。
歴史が繰り返されるなら、新型コロナウイルスの第2波が来る。
過去に世界的に流行したパンデミックの歴史が繰り返されるなら、高い確率で米国に第2波が来るようです。またパンデミック後の経済データを見ると、都市封鎖を厳しくしたほうがウイルス収束後の景気回復が早いことも教訓として知っておいたほうが良さそうです。
割高には見えないコカ・コーラの株価
今回の決算の結果を受けて、「コカ・コーラ株は買いなのか、そうではないのか」を考えていたのですが、短期での高いリターンは狙えないものの投資対象としてはそれほど悪くなさそうです。
財務諸表を見て電卓をたたいても、2020年7月時点のコカ・コーラの株価は妥当な価格がついているように見えます。
もともとコカ・コーラはそれほど大きく下落する銘柄ではありませんが、他の米国株で割高になっているものが多いことを考えると、もし市場全体で下落することがあっても、他の銘柄よりも下落幅が小さく済む可能性が高いです。
加えて、コカ・コーラの配当利回りは2020年7月時点で約3.5%もあり、しかも58年連続して配当を増やしている連続増配銘柄なので、長期的に勝手に配当が増えてくれる期待もできそうです。
【初心者向け】米国株投資の魅力、連続増配銘柄の調べ方。
米国株の魅力の一つに、配当を毎年引き上げる連続増配銘柄が多数あることがあげられます。P&G、マクドナルド、ウォルマートは有名な連続増配銘柄ですが、その他にはどんなものがあるのでしょうか。この記事では、連続増配銘柄の調べ方を紹介します。
(※ただし、今のコカ・コーラの株価は低い金利に支えられているので、格付け悪化や金利上昇に弱い点には注意です。)
トレンドに乗ったIT銘柄のように短期でリターンを狙える銘柄ではありませんが、長期的に保有できる銘柄を探している人や、守りを固めて安定してリターンを得たい人には、今のコカ・コーラは選択肢としてアリだと思います。