コカ・コーラの20年1-3月期決算は、アナリスト予想を超える内容でしたが、4-6月期に不安を残す形になりました。
やはり、少なからず新型コロナウイルスの影響を受けているようです。
1-2月は順調なスタートを切ったようですが、レストラン・映画館・スタジアムの封鎖で売上減少に見舞われています。4月の出荷数は前年比で最大でマイナス25%程度の、甚大な影響が出ているとの発表がありました。
コカ・コーラは2019年に力強く復活を遂げていて今後に期待をしていたのですが、2020年は思い描いていたのとは異なる未来が待っている気配がします。
最悪期は4-6月期と言われていますが、この間にどれだけの売上減少が起こるか見通せず、2020年の通期売上見通しもまだ発表できない状況です。
この記事のポイント
- 1-3月期の決算は、1-2月の新型コロナウイルス本格流行前での売上が牽引して、アナリスト予想を上回る業績となった。
- しかし、収益と営業利益はともに前年を下回った。コカ・コーラで重要視される既存製品の売上成長率もゼロで、前期(+7%)に比べて大きく落ち込んだ。
- また、4月の出荷数はマイナス25%と業績に悪影響が出ている。今後の業績への影響は予測が困難で、2020年通年の業績見通しも発表できていない。
- 経営陣は現時点で配当の削減のプランはないと発言。コカ・コーラは58年連続で配当を増やす連続増配銘柄。
よろしくないですね。
1-3月期はなんとか収益前年比でマイナス1%で乗り切ったけど、4-6月期が大きく落ち込む上に、回復は鈍いとコカ・コーラは考えているようです。コカ・コーラ株は最高値から25%下落していますが、まだ少し下落するかも知れません。
長期的には全く問題ない優良銘柄ですが、2020年は少し苦しい戦いを強いられそうです。逆にこれだけの優良銘柄なので、最高値から30-40%下がるなら拾っておきたいところです。
近年のコカ・コーラは事業売却と買収を成功させて経営陣が結果を出しているので、このピンチも数年かけて乗り切ってくれると信じています。
2020年1-3月期結果
コカコーラの2020年1-3月期は、パッ見た感じではそれほど悪くありませんでした。
収益は前年比でマイナス1%にとどまり、収益・利益ともにアナリスト予想を超えています。
2020年1-3月期の結果
- 一株利益:調整後利益は0.51ドルで、予想の0.44ドルを上回る。
- 収益:86億ドルで、予想の82.8億ドルを上回る。(前年比マイナス1%)
単位:10億ドル | 1Q20 | 1Q19 | 前年比 |
---|---|---|---|
収益 | 8.60 | 8.69 | -1% |
営業収益 | 2.38 | 2.44 | -2% |
営業利益率 | 28% | 28% | – |
純利益 | 2.78 | 1.68 | +65% |
利益率 | 32% | 19% | – |
上の結果を見ると、コカ・コーラの1-3月期はなんとか踏みとどまったように見えます。
ただ内容を見てみると、やはりそれほど良くないです。
コカ・コーラで重要視される数字の1つに、既存製品の売上成長率(オーガニックセールス成長率)がありますが、この成長がピタッと止まりました。
オーガニックセールス成長率は、為替と買収の影響を取り除いたコカ・コーラ社の売上成長率です。
この数字が強いほど、コカ・コーラの商売は堅調だと言えるのですが、2019年に力強く成長が加速していた良い流れは新型コロナウイルスで完全に勢いが止まったように見えます。
4-6月期が恐らく最悪期
そして、今回のコカ・コーラの決算で、今後の不安材料がいくつか出てきていました。
コカ・コーラ決算の不安材料
- 2020年4月は世界で出荷量が急減している。最大で約25%減少する。
- コカ・コーラ社は、4-6月期では一時的ながら、甚大な売上減少を報告することになると予想。
- 急激な社会の変化の影響で、2020年の通期の業績見通しが発表できない。(経営陣も売上減少の規模が予測できない)
4月は世界各国で新型コロナウイルスで都市が封鎖されている影響で、出荷数が25%ほど落ち込んでいるようです。
食料品店やネット販売での出荷は急増し、特にネット注文は2倍のペースで伸びているようです。それでも映画館・スタジアム・レストランの閉鎖の悪影響を補えず、4月は急激な出荷数の減少に見舞われていると言います。
映画館・スタジアム・レストランなどの自宅以外での消費量は、4月はマイナス50%と急減しています。恐らく4-6月は最悪期になる可能性が高いです。
また、急激な売上の変化が起こっているので、経営陣でも2020年の業績が見通せない状況にあるようです。
経営陣ですら業績を見通せていないので、今の株価が正確にコカ・コーラの利益減少を反映し終わっている可能性が低く、これからコカ・コーラの株価が下がっていく可能性が十分あります。
最悪期は最良の投資チャンス
今までコカ・コーラの悪い知らせばかり触れましたが、もしも長期的見て業績が伸びていく企業であれば、「悪い知らせは投資のチャンス」でもあります。
そして、個人的な見方では、コカ・コーラはノンアルコール飲料の業界で長期的に成長すると思っています。
長期的に成長が期待できるコカ・コーラ
- ターゲットのノンアルコール飲料市場は、食品市場の中では高い+4.2%で成長。今後も長期的に成長が見込める。
- コカ・コーラは炭酸飲料から総合飲料メーカーへと変革を遂げつつあり、既に「炭酸飲料」「果汁ジュース」「スポーツ飲料」「Tea&Coffee」の4部門で世界1位、エナジードリンクで2位の数量シェアを確保している。
近年のコカ・コーラの取り組みは、こちらで詳しく取り上げています。
【企業分析】コカコーラのビジネス変革と今後の取り組みの全体像
コカコーラは炭酸飲料メーカーではなく、総合飲料メーカーになるために、どのような変革をしたのかを追いかけます。10年かけて事業を再編すると同時に、長期的な4-6%の売上成長目標を達成するために、「革新的な商品の投入」「ヒット商品の迅速な世界展開」「積極的な買収」を実践してきました。
4月21日現時点で、コカ・コーラは最高値から25%株価が下がった状態ですが、まだもう少しだけ下がっても不思議ではない状況にあります。
最悪期の4-6月にかけて、株価の最高値から30-40%下落するような展開が訪れれば、優良企業を安く買うチャンスだと思います。
100年続く名門企業で、近年はちゃんと企業改革を進めて結果も出してきた優れた経営陣がいるので、長期的には全く心配していません。投資できる株安のチャンスをじっと待ちたいと思います。