コーンフレークで有名なケロッグが、近年ブームになりつつある植物成分由来の人工肉(代替肉)に参入するようです。
2020年始めには、見た目も風味も肉そっくりのバーガー用の肉(パティ)「インコグミート」を販売する計画を明かしています。
先行するインポッシブル・フーズ社などの代替肉は原料に遺伝子組み換え植物を使っていますが、ケロッグの代替肉は遺伝子組み換え技術を使わないで大豆から作られると言います。
時代の風が吹く代替肉
アメリカで今、一番クールな技術と言われているのが代替肉をはじめとする人工肉です。現時点でのアメリカでの代替肉の主要なメーカーは、2019年に上場したビヨンドミートとインポッシブルフーズですが、ネスレも米国市場への参入を宣言しており、そこにケロッグも加わる形です。
代替肉を提供しているビヨンドミートの決算を見ると、売上の増加は勢いが凄まじく、19年第1四半期は前年比214.7%増(前年比約3倍)、19年第2四半期にはさらに成長が加速して287.2%増(前年比約4倍)になっています。
時代の風が吹くビヨンドミート。売上成長が加速した2019年2Q決算。
バークレイズの試算では、今後10年代替肉の市場規模は1400億ドル(約15兆円)になると言われています。
代替肉企業への投資の留意点
まばゆいくらいの将来の光を感じる代替肉市場ですが、気になる点はいくつかあります。
- 代替肉市場は比較的参入しやすいのか。
- 代替肉の価格下落を起こさないか。
代替肉市場への参入のしやすさ
まずネスレやケロッグなどが参入してくるように、比較的にどの食品メーカーでも簡単に代替肉を作れるものなのかが気になります。次々と市場に参入できてしまうと、市場を数多くの企業で分け合うようになるので1社あたりの儲けはどんどん小さくなります。
株を投資している人はピンと来るかも知れませんが、この状況は「経済的濠が小さい」と言います。これは、株投資に適さない企業・産業が持つ特徴になります。
詳細はこちら:【初心者向け】バフェットも注目する経済的な濠とは何か。
代替肉市場の価格下落
もう一つは、代替肉の価格下落が起こらないかです。各社が作る代替肉は劇的に味が違うとは考えにくく、似通った商品が提供されると消費者は当然価格が安いものを選ぶようになります。
例えばビヨンドミートは1ポンド(450g)11-12ドルと、通常の肉よりもかなり割高で販売されていますが、各社競争が激しくなるほど、価格破壊は起こされやすくなり、割高な代替肉の価格をいつまで維持できるかが不安材料です。
そうなると市場の未来は明るいと言えども、各社思ったほど利益が上がらない業界になる恐れもあります。この業界は大変おもしろいのですが、投資先の見極めは現段階では判断が非常に難しいです。