アメリカでは新型コロナウイルスの感染拡大が続いて、再び景気が停滞しないか心配されています。
JPモルガン・チェースは2021年1-3月にアメリカのGDPが再びマイナス成長に転落するだろうと予想をしたりと、コロナの感染拡大が経済に暗い影を落としているようです。
しかし、ワクチン開発の明るいニュースや感染拡大の暗いニュースで揺れて、短期的に見ると上昇と下落を繰り返して方向感がないように見える米国株でも、一歩引いてアメリカの景気の動きを眺めてみると、やはり20年4-6月期で底を打って回復しているように見えます。
なので、これから21年1-3月期に景気の低迷が来たとしても、大きな景気回復トレンドの中の小さな浮き沈みなのだろうと思います。
この記事のポイント
- アメリカでの新型コロナウイルスのJPモルガンは2021年1-3月期にアメリカのGDPがマイナス成長になるとの予想を発表。感染拡大は景気に暗い影を落としている。
- 20年から21年にかけての秋冬シーズンは、コロナの感染が最大規模に拡大しているが、景気低迷は20年4-6月ほどではないと見られている。まだ油断はできないが、景気の底は20年4-6月ですでに脱した可能性が高い。
20年1-3月に米GDPはマイナス成長へ
アメリカでは本格的な冬を前に、コロナの感染がとどまることなく拡大しています。
11月20日のアメリカのコロナの新規感染者数は、1日20万人を超えました。たった1日で日本の累計感染者数(約12万人)を遥かに上回る規模で、感染が広まっています。
ここまで感染拡大が続くとさすがに、景気への悪影響を避けることはできないようです。
米銀行大手のJPモルガン・チェースは2021年1-3月のアメリカのGDPは再びマイナス成長に落ち込むと警戒しています。
>>米国経済、来年第1四半期にマイナス成長の可能性-JPモルガン予測(ブルームバーグ)
アメリカの景気は2020年4-6月で既に底打ちした模様
「再びGDPがマイナス成長に落ち込む」というと、とても良くない大きなことのように聞こえます。
ですが、景気の回復の傾向を掴むために、アメリカのGDP成長率がどのように変化してきたのかを見てみると、そこまで落ち込む必要はないことが見えていきます。
上はアメリカのGDP成長率をグラフ化したものですが、21年第1四半期のGDPはマイナス成長こそするものの、前回のコロナ感染拡大で景気が大きく悪化した2020年第2四半期(4-6月期)に比べると、マイナス幅は明らかに小さくなって状況は改善しています。
まだ油断はできませんが、恐らく2020年4-6月期がアメリカの景気の最悪期だったのだと思います。
2021年になってしばらくすれば一般の人にもワクチンの接種が始まることを考えると、今後ますますコロナが景気に与える悪影響は小さくなるはずです。
2021年1-3月のように一時的に景気は悪化しても、既に2020年4-6月で景気は底打ちして、全体としては景気は大きな上昇傾向にあるように見えます。
さいごに
11月はワクチン開発に進展があって市場全体が楽観的な空気になったり、その次の週にはアメリカの感染拡大で景気悪化の懸念が出たりと、一見すると日々状況が変わって落ち着きがないようにも見えます。
こういう短い期間に景気見通しの改善と後退が交錯するような状況では、少し視野を広げて全体の様子を把握しようとしたほうが良いかも知れません。
少し視野を広げて、3ヶ月ごとのアメリカを見てみると景気は、全体的には既に2020年4-6月に底打ちして景気は回復傾向であることが見えていきます。
景気回復トレンドの中にいるなら、基本的には景気回復を見越して株に投資していいはずです。この視点があれば、株価の日々の上昇と下落に付き合う必要はなくなります。