最近は、アメリカの経済にも米国株にもかなり悲観的なスタンスでブログの記事を書いています。
「何が今のアメリカの懸念材料なのか」をJPモルガン・チェース銀行のジェイミー・ダイモンCEOが簡潔にまとめてくれているので紹介します。
この記事のポイント
- ジェイミーダイモンCEOいわく、アメリカは雇用も消費もまだ強い。
- だが、いずれ金融引き締め・高いインフレ・戦争が世界経済に悪影響を与える。
JPモルガンの決算書から
昨晩、アメリカの大手銀行のJPモルガン・チェースの決算発表が発表されました。
このブログを読んでいる人でJPモルガンの株を今持っている人は多くないはずなのと、株を持っている人なら4-6月期の収益や利益の数字は既に知っていると思うので、ここでは業績については触れません。
ざっと決算書を読んで特に気になった「ある一段落」にだけに焦点をあててみようと思います。
今回注目するのは、JPモルガンチェースのジェイミー・ダイモンCEOのコメントです。決算を見たことある人なら、下図のようなプレスリリースの右半分のページにCEOが業績やアメリカ経済について発言している箇所を見たことがあるはずです。
この中でも赤枠で囲んだ箇所で、成長が続いているものの、問題も山積みのアメリカの経済について触れています。
問題が山積みの経済
まず、コメントの中でダイモンCEOはアメリカ経済に見られる良い点をあげています。
アメリカの経済は成長を続けていて、雇用・消費・消費の余力も健全なままです。
にわかに6月から景気後退を心配する声が多く聞こえるようになりましたが、経済指標を見るとまだ強いものもあるのは確かです。
好調の筆頭はアメリカの雇用です。失業率はアメリカにとって歴史的に低い水準にあって、むしろ企業からは人手不足が叫ばれているほどです。
また、個人消費も名目なら高い伸びを見せています。(※ただし、この数字はインフレによって押し上げられています。インフレを除くと最近は前月比でマイナス成長の月もあります)
それでも、将来的には経済に悪影響になりそうな問題が山積していると言います。
地政学的な緊張、高いインフレ率、消費者信頼感の低下、先行きの見えない高い金利、今まで見たこともない量的引き締めとその影響が、ウクライナでの戦争で高騰したエネルギーや食料の価格とあいまって、いずれ世界経済に悪影響を与える恐れがとても高いです。
ジェイミー・ダイモンCEOが指摘した点をまとめると「高いインフレ」「金融引き締め」「戦争」が、世界とアメリカの景気に悪影響を与えると言っているようです。
この3つの関係をストーリーにするなら、物価が上昇していたところに戦争が起こってインフレに拍車がかかり、消費者は苦しんでいる。今はまだ雇用も強いが、インフレを抑えるための強い金融引き締めが続けば、副作用で実体経済も金融市場も荒れるという感じです。
ここまでの話を聞いて、1ヶ月前にダイモンCEOが語った「アメリカ経済には暗雲が立ち込めていて、経済のハリケーンはすぐそこまで来ている」という話を思い出した人もいるはずです。
>>経済の「ハリケーン」に備えよ、JPモルガンのダイモン氏が警告(ブルームバーグ)
最近のダイモンCEOは同じ話をしているようですが、昨日の決算を見てみるとハリケーンに備えるという姿勢はJPモルガン・チェース銀行のスタンスでもあるようです。
今のJPモルガンはローンが回収できない場合に備えて貸倒引当金を増やしているほか、自社株買いを停止してできるだけ現金を確保し、不測の事態に備えようとしています。
>>JPモルガンが自社株買い停止、4-6月は予想下回る-株価下落(ブルームバーグ)
このような備えば、個人投資家にも必要だと思います。
最近はどのブログ記事を書いても、結論が同じで申し訳ないのですが「米国株はまだ買いではない」です。最近は上半期に売られて安くなった大型ハイテク株を中心に、リバウンドの気配も感じやすくなりましたが、本格的な下げはまだこれからやってくるはずです。