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JPモルガンチェース、予想を上回る決算でも株価を下げた要因【21年1-3月期決算】

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JPモルガンチェースの2021年1-3月期(第1四半期)決算が発表されていたので、見てみました。

売上も利益も予想を上回ってかなり良い感じに見えたのですが、株価は決算発表後から冴えませんでした。

何か問題があるのかなと思い、決算書を見てみました。この記事では、私も投資しているJPモルガンチェースの2021年第1四半期決算の様子を見ていきます。

この記事のポイント

  • JPモルガン・チェースの2021年1-3月期は、収益も一株利益も予想を上回り、一見すると良い決算だった。純利益は4半期決算で過去最高を記録した。
  • 投資銀行業務が好調で前年比40%の大きな伸びを見せた一方で、ローンの貸出が伸びず個人向け銀行業務の売上が伸び悩んだ。
  • カードと自動車のローン貸出が伸びず、純金利収入も前年比11%下げている。伸び悩んだ純金利収入が決算発表後に株価を下げた要因と思われる。

全社的には良い業績だったJPモルガン・チェース


JPモルガンチェースの2021年1-3月期の業績は全体的にはかなり良かったです。

  • 収益:予想303億ドルに対して、323億ドル(予想超え、前年比+14.8%)
  • 一株利益:予想3.12ドルに対して、4.50ドル(予想超え、前年比+477%)

売上、一株利益はどちらもアナリスト予想を超えました。

純利益は4半期業績の過去最高益を更新しています。

今回利益が大きく伸びている背景には、コロナの不況で顧客が貸し倒れをすることに備えて積み立たお金(貸倒引当金)の一部を取り崩して、利益として報告したことがあります。

ちょうど1年前から貸倒引当金を積み上げてきましたが、その備えが一部でも不要になったということは、それほど景気が良くなってきたということを意味します。

順調な投資銀行部門、不調な個人向け銀行部門

JPモルガン全体では業績は好調に見えたのですが、部門別に売上を確認していくと、投資銀行業務がかなり好調だった一方で、個人向け銀行業務は低調が続いていることがわかります。

部門別売上(単位B:10億ドル) 1Q21 1Q20 増加率
個人向け銀行業務 $12.5B $13.3B -6%
投資銀行業務 $14.6B $10.0B +46%
法人向け業務 $2.4B $2.2B +11%
富裕層向け資産運用 $4.1B $3.4B +20%

個人向け銀行業務では、どうもカードローンと自動車ローンの貸出が伸びていないようです。このローン貸出の不調が響いて、純金利収入は前年から11%下げています。

この純金利収入の伸び悩みが原因で、決算発表後にJPモルガンの株価が低迷したのではないかと考えています。

ジェイミー・ダイモンCEOもローン需要は「引き続き厳しい」と言ってることから、金利収入の伸びは今後も伸び悩むと見て売られたのかも知れません。

まとめ

この記事では、私も投資しているJPモルガンチェースの決算を見ていきました。

全社的には売上・利益ともに予想を超えて、良い印象を持っていたのに、決算発表後に株価は低迷していたので、少し変だなと感じる決算でした。

原因を調べるために少し詳しく決算書を見てみると、ローンの貸出が伸びず、純金利収入(net interest income)が伸び悩んでいる現状が見えてきました。

ワクチンがアメリカで承認されはじめた2020年11月頃から長期金利が上向いていたので、銀行株は金利収入が増えると思って私は銀行株に投資をしてきたのですが、それが伸びていないことが分かった今回の決算は少し残念でした。

ただ、JPモルガンチェースと同じ日に決算発表があったウェルズ・ファーゴを見てみると、同じくローンの貸出は伸び悩んでいる様子が見えてくるので、どうもJPモルガン・チェースだけの問題ではなさそうです。

コロナが収束すればカードローンも自動車ローンもどちらも伸びてくると考えているので、もうしばらく辛抱して銀行株の保有を続けようと思います。


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