店頭から消えるチェースペイ
銀行が仕掛けるITサービスよりも、IT企業が提供する金融サービスのほうが支持されるものなのでしょうか。
iPhoneで決済ができるApple Payのライバルとして2015年に登場したJPモルガン・チェース銀行の決済サービスChase Payは、2020年に店頭での決済サービスを終了すると発表されました。
Chase Payはアプリやウェブ上での決済は今後も続くようですが、店頭での決済サービス終了することで、JPモルガン・チェースにとっては明らかな1歩後退になりました。
Appleが2019年に店頭での決済を拡大させる効果をもつクレジットカードのApple Cardを提供はじめたことと、Chase Payの店頭決済サービス終了は対象的な結果になりました。
アップルカード、米国で発行開始。決済サービス企業へと進化を遂げるアップル。
これはたった一例なのかも知れませんが、もしもハッキリとしたIT企業の優位性があるのなら、銀行をはじめ金融業界の企業は戦々恐々とすることでしょう。フィンテックという名で世界中の銀行が進めてきたIT化プロジェクトの先行きにも、不安がよぎります。
また、投資家はこのような戦いなら、IT企業の方に自分の資産を振り向けるようになるかも知れません。
相次ぐデジタルサービスの廃止
JPモルガン・チェースのこうしたITサービスの廃止は、今年に入って初めてではありません。2018年にリリースしたデジタル銀行「Finn(フィン)」もわずか1年での閉鎖が発表されています。
Finnはスマホアプリだけで口座開設もデビットカードの発行も完結する、店舗を持たないスマホ銀行サービスでした。
Finnのアプリでは、当座と普通口座の資金振り分けを自動的で行うルール設定機能もついていて、たとえば給料日に決まった金額を当座と普通口座に分ける機能などがついていました。
証券口座の開設と株取引の機能はなかったようですが、将来的には給料日に決まった金額を証券口座に自動で移して、いくつかの決まった株の積立を行うまで自動化されるかと言われていました。
リリース当初は、フィンテックスタートアップの脅威になると思われていたFinnですが、2018年6月のリリースから、ちょうど1年たった2019年6月にサービス終了が宣言されています。
わずか数ヶ月の間に、Finnとチェースペイの店頭決済が立て続けにサービス終了が発表され、JPモルガン・チェースのフィンテックの取り組みは見直しの時期にきているようです。