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19年4月米雇用統計が示した米経済の力強さ。株式投資に追い風か。

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5月3日米労働省は4月の米国雇用統計を発表しました。その内容は一言でいえば、かなり良かったです。

雇用統計のポイントは次の3点です。

  • 非農業部門の雇用数は市場予想の18万5000人に対して、26万3000人と大幅増加。
  • 失業率は49年ぶりの低水準である3.6%にまで低下。
  • 賃金は前月比0.2%(6セント)増で、2カ月連続上昇ペースを維持。

雇用統計より前に明らかになった直近の米GDP年率成長率は+3.2%で、経済成長の力強さを示しましたが、雇用統計でもそれを印象づける結果になりました。

2019年の年が明けた頃には、今年はリセッション入りもあるかと思えた経済状況でしたが、こうも強い経済の数字が出てくるとは正直思いませんでした。まだまだ私は、今年から来年にリセッション入もありえると思っていますが、状況はかなり好転している印象を受けます。

雇用数は予想を上回る大幅増加

まず基本的な雇用統計の見方についてですが、まず1つの目安になるのは10万人を超えるかどうか。そして、次に市場予想を上回るかです。

アメリカの労働年齢人口の伸びを維持するには毎月の雇用増加が10万人を超える必要があるとされています。それゆえ、2019年2月の雇用統計では5万6000人増にとどまり、この発表を受けて当時は金融や経済に関わる多くの人が肝を冷やしました。

そんな中、4月の雇用統計では事前予想でも10万を大きく超える18万5000人を想定していましたが、実際はそれを大きく上回る26万3000人でした。これは大きなアップサイドなサプライズです。

市場が折込はじめた利下げ期待は後退か

強い数字を受けて、2019年年明けにまんえいしていた景気後退の懸念が一気に後退しただけでなく、景気支援目的で年内に金利利下げをすべきという市場の期待も後退し始めています。

この雇用統計が発表される数日前、トランプ大統領は中国が金融政策で景気を刺激している現状を引き合いに出し、「例えば1ポイント程度の幾分かの利下げが実施され、幾分かの量的緩和が実施されれば、米経済はロケットのように上昇する可能性がある」とツイートをし、利下げと金融緩和を望む声を上げていました。

しかし、その後の米金融政策決定会合のFOMCでは、こうした声に応じることなく、現状の金融政策を維持する決定を下しました。その理由をパウエル議長は「米経済が極めて良好で、インフレ率が低く、金融政策を変更する必要がない」と説明していましたが、こうしたFRBの経済認識を、雇用統計は数字で証明した形になりました。

株式投資をサポートするかのような経済指標。警戒すべきは米国外の経済か。

さて、直近の現状のアメリカ経済を振り変えると、なんとも株式市場を後押しするかのような順風満帆な経済状況になりつつあります。

  • 米経済はGDP成長率3.2%と力強い伸び
  • 失業率は49年ぶりの低水準である3.6%にまで低下
  • 力強い経済の成長の一方でインフレ圧力は高くなく、FRBによる金融引き締めもない状況

上記だけみると、これから景気後退(リセッション)入する国の経済指標とは到底思えません。ロイターの取材に応じたアリアンツ・インベストメント・マネジメントのチャーリー・リプリー氏の言葉を借りるなら、まさに「米経済は適温な環境」といえる、株式投資にする上での好条件が揃っています。

ただ、アイディール・アセットマネジメントのラウル・シャーCEOは、「歴史的に見ると失業率がこれほど低い場合、将来の投資収益率(リターン)は減る傾向があるため、足元の投資には微妙な判断を要する。」と、失業率が極めて低水準である場合には、投資リターンも小さくなるデータを紹介して警戒を促しています。

私の考えでは、低失業率と投資リターンは少なからず関係はあると思っています。失業率が極めて低くなるのは景気拡大の終盤(景気後退の直前)に見られる現象で、こうした局面では賃金上昇に応じてFRBも金利をあげるため、企業も家計もは資金調達コストが上がり、投資リターンが減少するのだと思います。

しかし、現状インフレ率は低水準に留まっており、まだまだ米経済単独で景気サイクルがリセッション入するには時間を要しそうです。もしも米経済に何かしら黒い影を落とす可能性があるとすれば、アメリカ国内の要因ではなく、海外要因を追うのが妥当に感じます。

これからしばらくは、アメリカ経済だけでなく、他国の経済ニュースにも視野を広げておけば、何かしらのシグナルに気づけるかもしれません。


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