毎年配当を増やしてくれる連続増配銘柄で有名なジョンソン&ジョンソンの決算発表がありました。
今期は収益がわずかに予想を下回る結果になりました。この2年間、低調な売上や利益に沈む時期でも、毎回の決算でアナリスト予想だけは超えてきたこの会社ですが、珍しく決算でミスする形になりました。
この記事のポイント
- 収益が10四半期ぶりにアナリスト予想を下回った。ジョンソン&ジョンソンにしてはかなり珍しいこと。
- 収益は前年比1.7%増、利益はマイナス6.4%でかなり低調な決算になった。
- 2019年通年でも見ても、収益はわずか前年比0.6%増にとどまった。
- 医薬品でいくつか好調な製品があるものの、日用品や医療機器の低迷をカバーしきれなかった。
この銘柄は長期的に配当をしっかりと伸ばしてくれる企業なので、たった1回の決算どころか、たった1年の不調で売りを考えるような銘柄ではありません。しかし、それにしても2019年通年の売上成長がわずかに0.6%増加とは低すぎです。
この株を既に保有している私としては売る理由はありませんが、追加で買う理由もないなと感じる低調な決算でした。
2020年では盛り返せるか、今後も様子を見たいと思います。
2019年4Q決算
ジョンソン&ジョンソンの決算は、収益がわずかに予想を下回りました。収益でも利益でもどちらか一方でも、予想を下回ったのは2017年2Q以来の10四半期ぶりになります。
- 調整後利益:1.87ドル予想を上回る、1.88ドル。
- 収益:208億ドル予想をわずかに下回る、207.4億ドル。
決算 | 利益 | 収益 |
---|---|---|
4Q19 | 予想超え | ミス |
3Q19 | 予想超え | 予想超え |
2Q19 | 予想超え | 予想超え |
1Q19 | 予想超え | 予想超え |
4Q18 | 予想超え | 予想超え |
3Q18 | 予想超え | 予想超え |
2Q18 | 予想超え | 予想超え |
1Q18 | 予想超え | 予想超え |
4Q17 | 予想超え | 予想超え |
3Q17 | 予想超え | 予想超え |
2Q17 | 予想超え | ミス |
1Q17 | 予想超え | ミス |
そもそも、2年以上予想を上回り続けたほうがすごいのですが、それにしてもジョンソン&ジョンソンの今回の決算はかなり低調だと感じます。
決算ハイライトのスライドを見ても、今期の売上は前年比でわずか1.7%増、一株利益はマイナス4.6%でした。これはよろしくない数字です。
2019通年でみても、売上は0.6%上昇、一株利益は6.1%上昇でした。収益が1年間でたった0.6%上昇とは、これまた良くない数字です。
部門別売上
部門別の2019年4Qの成績では、医薬品部門は低調ながらも頑張りをみせました。ただし、日用品と医療機器部門は足を引っ張った形です。
部門 | 収益 | 前年比 |
---|---|---|
日用品 | 35.7億ドル | 0.9%増 |
医薬品 | 105.5億ドル | 3.5%増 |
医療機器・備品 | 66.3億ドル | 0.5%減 |
部門別の主な製品
- 日用品:ドクターシーラボ(美容品)、ニュートロジーナ(ハンドクリーム)、タイレノール(解熱鎮痛剤)
- 医薬品:レミケード(関節リウマチ治薬)、ダラザレックス(多発性骨髄腫薬)、イブルチニブ(抗がん剤)
- 医療機器・備品:アキュビュー(コンタクトレンズ)、不整脈診断システム、外科手術用品、消毒洗浄用品
日用品の低迷は割とはっきりしていて、ベビーケア用品の売上11%減が全体に重くのしかかっています。
これを聞いてすぐに連想するのは、ジョンソン&ジョンソンのベビパウダーに発がん性があるとして訴えられた件です。訴訟が売上に悪影響を与えている可能性が高いです。
また、好調の医薬品の中でも、ダラザレックスの前年比41.2%増加して業績が光って見えます。関節リウマチ薬のレミケードは売上減少しているものの、売上規模がそこそこ大きい製品でちゃんと成長しているものが多い点には希望がもてます。
ジョンソン&ジョンソン主要医薬品の売上
- レミケード(関節リウマチ薬):16.4%減の10億ドル
- ダラザレックス(多発性骨髄腫薬):42.1%増の8億ドル
- イブルチニブ(抗がん剤):24.5%増の9億ドル
- ステラーラ(乾癬薬):17.7%増の17億ドル
まとめ
低調だったジョンソン&ジョンソンですが、主力部門の医薬品でキラリと光る成長が見られたことは良い点でした。
しかし、長い目で見たときには医薬品には特許切れがあるので、医薬品が奮闘している間に、日用品と医療機器が立て直しできるかを今後は見ていきたいと思います。