本日は2019年5月10日です。本来であれば米国と中国で貿易協議の合意を結ぶはずだった日です。
いや、「はずだった」と過去形で表現するのは、まだ早いですね。まだ米国と中国の交渉は1営業日残しています。実際、まだ希望があると考えている市場参加者も一定数いるようです。
大幅に上昇した上海市場
米国と中国の貿易協議で揉めに揉めた週でしたが、今週最後の5/10の中国市場の上海総合指数は+3.10%と大幅に上昇して終えました。ロイターによると聯訊証券のアナリストは「先は明るい。劉鶴副首相のワシントンでの発言は(米中の協議が)合意に達する可能性が比較的高いことを示している」と楽観論から、株価が値を上げたと報じています。
しかし、上海総合の指数の1日の動きを見ると、今日一日は安堵感で包まれていたわけではなく、ずいぶんと不安定な値動きをしていることがわかります。
中国市場の昼休みに当たる時間に、米国が予定通り中国からの2,000億ドル相当の輸入品に対する関税を10%から25%に引き上げたことで急落し、昼休み明けの指数は地下から這い上がるようにスタートする、いびつな形をしています。
個人的には合意は困難と想定
しかし、普通に考えて、5月10日の合意形成は難しいと考えています。米国側の主張によれば、数ヶ月かけて協議したものとは異なる内容の文書を直前に突きつけられたと言います。それゆえの米国からの追加関税発動に至ったわけですが、直前の変化球は国レベルでなくても、一企業でも契約合意は不可です。
次善の策としては、合意に至らなかった場合でも、協議後に開かれる会見でどれだけ質疑応答で市場参加者の不安を和らげる発言ができるかも重要になります。残りの争点が整理され、合意見通しについてのコメントがあるかどうかだけでも、市場の受け止め方は違うはずです。
一方で、米中ともに輸入品に関税を掛け合う応酬が再開されることは、なんとしても避けたいところです。
下落相場をチャンスに変えられるか
投資家としては、もはや見守るしかありません。合意に至れば、もともとGDP成長率3.2%で、失業率も歴史的低水準な米国の株価はスルスルと上昇基調に戻るでしょう。合意に至らずに互いに関税をかけあう貿易戦争が再開されるハードランディングなら、各々株を売るなり、下落をチャンスと見て買い増すなり、アクションが求めれます。
ハードランディングで市場が荒れる場合の対応方針については、私個人としては今朝のブログで整理したつもりです。
2019年2回目の逆イールド発生。今後の投資戦略をリスクと資金から見直す。
今回の米中協議はともすると、次の不況への引き金になるかもしれません。しかし、不況はうまく乗り切れれば、株を安く買える絶好のチャンスでもあります。
前回のリーマンショックでは、私はまだ学生で大きな資金も下落相場を乗り切る対応も持ち合わせていませんでした。次訪れる不況は、まとまった資金を持って挑む初めての下落相場になります。
次の下落相場でチャンスを掴むために、あの悔しいリーマンショックから今まで10年も時間をかけてきたつもりです。ただ、浮つかず、狼狽せず、できるかぎり大人な対応でこの相場に望みたいと思います。