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最初の利上げから景気後退までの期間は、思っているよりも長い。

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私は米国株は割高なので、これから1年後くらいに政策金利の引き上げ(利上げ)がはじまり、利上げが続いて最終的に景気後退(≒不況)につながれば米国株に大きな下落があるのではないかと心配しています。

しかし、実際に調べてみると、政策金利を引き上げてから景気後退になるまでは、かなりの長い期間がかかっていることがわかります。

この記事では、過去の40年分のデータを振り返り、中央銀行FRBが不況から脱却したあとに最初に利上げをしてから何ヶ月かけて次の景気後退が起きているかを見ていきます。

この記事のポイント

  • 過去40年分の米国経済のデータを見て、FRBが利上げしてから何ヶ月かかって次の景気後退に突入しているかを調べた。
  • 直前の不況から抜け出して最初の利上げが始まってから、約40ヶ月から約80ヶ月かかって、次の景気後退に突入していることがわかった。
  • この間ずっと利上げ後の株価下落を恐れていると、その分株から得られるリターンを逃してしまうことになるので注意。

FRBの利上げから次の景気後退までの期間は意外に長い

利上げからどれだけの期間で景気後退が訪れているかを調べるために、FREDというサイトを使って、過去40年の政策金利の変化と景気後退の時期をグラフ化してみました。


出典:FRED

※FREDの使い方を詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

かなり図が小さくなってしまったので、景気サイクル最初の利上げから、次の景気後退までの期間を表にまとめ直すと以下のようになります。

(A)利上げ開始 (B)景気後退入り (B)-(A)利上げから景気後退まで
1983年3月 1990年7月 88ヶ月
1994年2月 2001年3月(ITバブル) 85ヶ月
2004年6月 2007年12月(金融危機) 42ヶ月
2015年12月 2020年2月(新型コロナ) 50ヶ月

こうしてみると、「意外に長いな」というのが調べてみた感想です。

過去4回の景気後退の前にはいずれも利上げがありましたが、利上げが始まってから景気後退が訪れるまでは最短で42ヶ月(約3年半)、最長で88ヶ月(約7年)かかっています。

しかも、1990年の景気後退の前や2000年ITバブル崩壊の前のように、利上げ後に利下げをしてから再度利上げに転じているような場合もあります。このパターンのときには、利上げしてもかない長い間は景気後退による株下落はおこらないようです。

利上げ後の株価下落を警戒するときの注意

私は2021年を明けてから、ずっと「今の米国株は割高で、次に利上げを何度も経験していずれ景気後退が起こったら、株価は大きく下落することを警戒している」と書いてきました。

その考えにまだ変わりはありませんが、過去40年のデータどおりの展開なら利上げが始まったとしても、かなり長い期間は景気後退に突入しないことになります。

つまり、その間にずっと警戒し続けて米国株への投資を躊躇していると、投資していれば得られたはずのリターンが大きくなってしまいます。

まとめ

米国株は継続的な利上げが起こると景気が悪化して下落する恐れがあるのですが、その下落が起こるまでにはかなりの時間がかかることを、この記事で見てきました。

景気後退の時期を読むのはプロでも難しく、次の景気後退が起こるタイミングを予想するのはかなり困難なのですが、あまりに利上げと景気後退を警戒しすぎて、米国株のへの投資を敬遠してしまうと、何年も投資のリターンを逃してしまうことになってしまいそうです。

先日、「米国株は割高で、10年程度を目安に投資している長期投資家は今投資してもそれほどリターンがでない」という記事を書きました。

しかし、10年以上に渡って売買をしない長期投資家はそれほど多くいません。ほとんどの投資家は10年よりも投資期間が短くなるはずなので、多くの人にとってはまだ投資しておいたほうがいいことになりそうです。

米国株がどうしても割高で魅力的に見えないなら、別の国や株ではない資産も検討する工夫も必要かもしれません。いずれにしろ、数年単位で動ける投資家にとってはまだ本格的にリスク資産を引き上げる時期ではなさそうです。


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