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G20金融トップ会議の声明文への違和感。19年後半から景気は回復するのか。

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成長が加速する見通しへの違和感

6月8-9日に福岡で行われていたG20の財務相・中央銀行総裁会議が閉幕しました。各国の金融のトップたちが集まっているだけあって、関連したニュース記事が数多くメディアで報道されており、報道されている各国のトップの発言は皆一様に米中貿易戦争を世界経済の大きなリスクと捉えているようでした。

6月9日のIMFラガルド専務理事が発表した声明にも、貿易戦争の解決を最優先に考えることが盛り込まれました。

世界経済が一時的な安定の兆候と成長加速の見通しを示すなか、会合を行った。これらは良いニュースだが、先行きは引き続き不安定でいくつかの下振れリスクがある。これらのリスクを和らげるため、既存および新たな関税を含め、現在の通商面での緊張緩和を最優先するよう強調したい

しかし、気になった点があります。「世界経済が一時的な安定の兆候と成長加速の見通しを示すなか、会合を行った」との現状認識の部分への違和感です。

19年後半から景気は回復するのか

世界経済について「下方リスクを抱えながらも19年後半から20年にかけて回復する見込みだ」と麻生財務相も発言しているとの報道もあります。

これ、本当でしょうか。

特に「19年後半から20年にかけて回復する見込み」という見方がどうにも、私にはしっくりきません。私以外にも投資をしている人で、19年後半から景気が回復するストーリーを持っている人は少ないと思います。

毎日市場の動向見ていると、少なくともアメリカの景気は曲がり角に来ているように見えますし、「次の景気後退局面がいつくるのか」を気にしている人、もしくは「既に景気後退局面入りしている」と話す人もいるくらいです。

また諸外国を見てみると、中国の景気は去年から引き続いて弱く、その影響をもろに受ける韓国も景気の悪化懸念からウォン安が進んでいます。ヨーロッパをみれば2019年に入ってからドイツの製造業の指数はよろしくないですし、オセアニアを見れば28年続いたオーストラリアも景気刺激のための金利引き下げをせざるを得ない状況です。

黄色ものを意識して歩くと、いつも以上に街中の黄色いものに気づくようになるという認知科学の実験があります。

意識するとそればかり目につくようになる人間の心理をカラーバス効果と言うそうですが、私は「安くなったら株を買い増ししたいから暴落が起こってほしい」と思っているからこそ、悲観的なストーリーばかり目につくカラーバス効果にかかっているのでしょうか。

面目を大事にする中国人

そして、これもカラーバス効果かもしれませんが、米中貿易は市場では早期には解決しないとの見方が広がっています。

私も米中貿易は私も早期には解決しないと思います。

仕事で結構中国人とチャットや電話をすることがあったのですが、私の少ない経験からすると、彼らは自分達のメンツが最重要で、こちらが相手のメンツを潰さないように話をしないと話が進まないのです。(完全な私見ですみません)

過去、私の仕事では明らかに中国人チームのミスでトラブル対応に巻き込まれたことが何度もあるのですが、だいたい以下のような会話が繰り広げられていました。

私:「トラブルの件なんだけど・・・」
中:「私、悪くない。お前、私、疑ってるか」
私:「疑ってないよ。それでトラブル対応の件で・・・」
中:「私、やってない。何もやってない。」
私:「(もうダメだ。聞く耳を持ってない。。。)いやいや、責めてないよ。いつも仕事助けてくれてありがとう。実は今、こっちはピンチで死にそうだ。助けが必要なんだ。」
中:「(気分を良くして)おう、どうした(笑)?」
私:「クライアントに報告するために、中国人チームのトラブル対応の進捗について教えて欲しい」
中:「そのことなら、私が一番良く知っているよ。教えてあげよう。(以下略)」

相手に気持ちよく仕事してもらうために、上の太文字にした”I’m dying. I need your help”を何度言ったことかわかりません。

相手からしたら「こいつ本当によく死んでるな」と思われているかも知れませんが、相手の面目を潰さないように会話を進めないと聞きたい情報すら聞き出せないことは多かったです。

私の中国人チーム数人が皆そのような性格だったのかも知れませんが、中国が協議した内容を覆してきたとアメリカ政府が公に抗議している間は、まだまだ貿易協議の合意は遠い気がします。

ということで、米中貿易戦争も解決が長引くのが基本シナリオだと思っていますが、前述の声明文にもあった世界経済の加速の件は貿易戦争が加熱しないことを前提にした見通しなので、やはり2019年後半から2020年にかけての経済成長があるとはなかなか考えにくいです。


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