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もしも株が下がり始めるなら、そろそろかも知れない。

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株価は順調に回復しています。一時期は最高値からマイナス34%まで下落していましたが、下落幅をマイナス15%まで戻りしています。

かなり自信がない予想なのですが、もしもこれから数ヶ月の間に株価が安値を更新するような動きがあるなら、そろそろ株価は下落に転じる可能性があります。

ただし、これはこの上なく確度が低い予想です。

中央銀行FRBやアメリカ政府の大規模な景気刺激策への(少々過度な)期待が強いので、このまま下落せずに上昇を続ける可能性もあります。

この記事を読む際には、「もしも株価が下がるなら、そろそろかも知れないんだね。ふーん。」くらいに聞き流してくれると嬉しいです。

この記事のポイント

  • 一時期大きく下落したアメリカ株は、年初来マイナス11%まで縮めてきた。アナリストによる2020年の利益予想は前年比-12%なので、理論的にはおよそ適正な水準にまで価格を戻した。
  • 1-3月の決算期の結果を受けて、アナリストが今後1年間の企業利益予想を引き下げれば、これからS&P500が下落に向かう可能性がある。
  • 株の弱気派のガンドラック氏は既に空売りを再開し、マイナード氏は株の保有比率を引き下げるように警戒を促している。
  • ただし、FRBと米政府の景気対策への過度な期待で株価が上昇を続ける可能性もある。また、そもそも企業収益は予測が困難な状態なので、理論通りに株価が下落に転じるかはかなり不透明。

(理論的には)適正水準に達しているS&P500

この記事を書いている4月17日の時点でS&P500は年初来からマイナス11%まで、株価を戻してきました。恐らく、今の時点のS&P500の理論価格にかなり近づいたと思います。

理論価格って何だと思うかも知れません。少々不正確ではありますが、わかりやすさを重視して補足をします。

Factsetが調査した以下のグラフをみると、今後1年間のS&P500の企業の利益は、2019年から2020年にかけて163から143へと12%減少するとアナリスト達は予想しているようです。

金利の環境が大きく変わらなければ、株価は企業の利益に比例するはずなので、2020年は2019年よりもS&P500の株価は約12%減少します。

4月17日のS&P500は年初来でマイナス11%なので、20年3月中旬の売られすぎの状態から、だいたい適正な水準に戻ったと言えます。

ちなみに、より正確にはS&P500の株価の予想は2019年と2020年の企業利益予想ではなく、最新の今後12ヶ月の企業予想の値を使います。ただ少々不正確でも、おおよそ適正水準に近づいてきたという結論は変わらないので、このまま話を進めます。

決算期で株価が下落するかも知れない

今は2020年1-3月期の米国企業の決算シーズンですが、決算の結果を見てアナリスト達が今後の企業の予想利益を引き下げるかも知れません。

そうなれば株価の理論的な価格も下がって、実際の株価が割高と判断されて下げ始めるかも知れないと考えています。

そろそろ株価が下がると予想する投資家たち


株価が下がるならそろそろかも知れないと言っているのは、私だけではありません。

投資家のガンドラック氏は4月10日のツイートで、米国株のショート(株価が下がることに賭ける取引)を再開したことを明かしています。

また、投資家のスコット・マイナード氏は、この数週間の株価の上昇の間に株に資金を移した投資家は、また資産配分を考え直したほうが良いとアドバイスを送っています。

>>>S&P500種、1200まで下げる可能性-グッゲンハイムのマイナード氏(ブルームバーグ)

ちなみに上記のブルームバーグの記事でマイナード氏は、S&P500は1500や1200になるまで下げるかも知れないと言っています。S&P500が1500まで下がれば、今の株価が半分近くになることを意味します。

株価は1500まで下がることの説明

「一体、どう考えたらSP&500の価格が1500まで下げるなんて予想になるんだ!?」と思われるかも知れません。

その仕組ですが、今後1年間で得られる企業利益予想が約30%下がると想定すれば、S&P500は1500ほどになります。

まず、以下のグラフを見ると4月17日時点で最新の今後12ヶ月のS&P500の企業利益予想は150ドルです。

マイナード氏は、かなり悲観的場合は利益予想が33%ほど下がって100ドルにもなると思っているのでしょう。なおかつ、長期的には企業利益の15倍が株価になっているというデータ(長期のPERが15倍というデータ)を使うと、100ドル×15でS&P500の価格は1500くらいにはなります。

問題は企業利益の予想が今後1年間で30%も減少するのかですが、これを判断するのはかなり難しいです。

ゴールドマン・サックスによれば、アメリカは4-6月期にGDP成長率が24%減少すると見ています。この最悪期からの回復がズルズルと遅れれば、企業利益予想が悪化するはずですが、今後1年間の企業利益が30%減るというのは、さすがに悲観的すぎではと個人的には思っています。

理論通りにならない可能性も


ここまで、もしも株価が理論通りの動きをするなら、決算シーズンを経て企業利益予想が下がり、これから株が下がるかも知れないとお話をしました。

ただし、これはあくまでも「理論」の話なので、この通りにならない可能性は十分あります。

株価が理論通りにならない理由

  • 市場はFRBと米政府の景気刺激策に大きく反応しているので、しばらく株価が上昇を続ける可能性がある。
  • そもそも、株価の理論値の鍵を握る企業利益がどうなるかが、まったく読めない。(ウイルスによる企業利益へに影響の規模と期間がまだ未知数)
  • 想定よりもワクチン開発が進んで、企業利益の予想が改善されれば、株が上昇する可能性すらまだ残っている。

なので、この記事で書いたことは参考程度に聞き流してください。私も「もしも株が下がるなら、そろそろかも知れない」程度の認識です。

個人的には、現在のアナリストたちが描いている今後12ヶ月の予想利益150ドルは楽観的な予想だと思っているので、これから企業利益予想は下がっていくと思います。

なので、最近の株価は勢いよく上昇を続けていますが。資金の一部は下落待ちで待機させてます。


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