2020年夏に米リセッション入りか
アメリカの中央銀行FRBのニューヨーク地区連銀が算出しているアメリカの景気後退の予測モデルを見る限り、2020年夏にリセッション(景気後退)が訪れるかもしれません。
2020年の8月までに景気後退が起こる確率は37.9%にまで上昇しています。
ん?いまいち、高い確率に見えないですって?
たしかに、30%台後半という確率だけ見るとそれほど高く見えないのですが、2007年12月にリセッション入りした時の予測値の39.42%に限りなく近づいています。
ニューヨーク連銀のこの予測モデルは、とても控えめな数字を出すことで有名のようですが、そのモデルが30%以上のリセッション発生確率を出すというのは、ウルトラマンのカラータイマーが点滅し始めるレベルで警戒が必要です。
リセッション発生確率30%は危険水準
ニューヨーク連銀は国債の利回りのデータをもとに、アメリカでリセッションが発生する確率を毎月算出しています。
リセッションの危険がないときにはこの確率は非常に低くなっていて、リセッションの期間を含めても確率の中央値はわずか8%程度なのですが、2019年と2020年ではこの確率が急上昇し、2020年6月までにリセッションが発生する確率はついに30%を超えました。
直近の3回のリセッションでは、予測確率が20%や30%を超えた時期にいずれもリセッションが発生しています。
リセッション発生時期 | NY連銀の予測確率 |
---|---|
1990年7月 | 32.6% |
2001年3月 | 21.5% |
2007年12月 | 39.4% |
(参考)2020年8月 | 37.9% |
このNY連銀の予測モデルでリセッションの発生確率が30%を超えた期間は過去8回あるのですが、そのうち景気後退を免れたのは1967年の1回しかありません。
2020年6月までにリセッションは発生する確率は30%を超え、20年8月にかけて更にその確率は上昇しています。かなりの高確率で2020年の夏頃にアメリカの景気後退がやってくるとデータは警告しているように見えます。
ニューヨーク連銀のイールド・カーブ・モデルの調べ方
さて、ここまでの話で終わってしまったら時間が経つにつれて、この記事の価値が落ちてしまうので、最新のニューヨーク連銀のイールド・カーブ・モデルの結果の入手方法をここにまとめておきます。
ニューヨーク連銀のイールド・カーブ・モデルの予測結果は、毎月4営業日目にこちらのサイトの一番下のグラフで確認できます。
The Yield Curve as a Leading Indicator(FRB of NY)
クリックすると以下のようなグラフが出るかと思いますが、この”The Probability of US Recession(…)”が目的のグラフです。
また、データをエクセルでダウンロードしたいという方はこちらのURLからダウンロードできます。
そして、勘のいい人は気づいているかもしれません。国債の利回りのデータを使って景気後退の発生を予測するイールド・カーブ・モデルって、要するに「10年国債利回り」「3ヶ月国債利回り」を使った逆イールド現象と同じものを見ているのではないかと。
どうやら、そのとおりのようです。そもそも、逆イールド現象を最初に論文で世の中に発表したのは、ニューヨーク連銀のエコノミストだったので、ニューヨーク連銀は今でも「10年国債利回り」「3ヶ月国債利回り」を追いかけて予測モデルの結果を毎月更新しています。
そして、1996年に発表された逆イールド現象の論文もNY連銀のサイトに掲載してあり、こちらで見れます。
The Yield Curve as a Predictor of U.S. Recessions(Arturo Estrella and Frederic S. Mishkin)
今回の記事では、NY連銀の予測モデルによれば2020年夏にかけてリセッションの可能性が特に高くなっていること、さらにその予測モデルの調べ方についてもご紹介しました。