2022年からアメリカで政策金利の引上げ(利上げ)が進めば、「米国株は2023年か2024年にも30%程度下落しても、不思議ではないと思っている」という考えを以下の記事で書きました。
急速に利上げ予想を前倒しする市場の投資家たち
2021年10月に入ってから、市場の投資家たちが急に考えを変えてきています。「アメリカの政策金利の引上げは考えていたよりも、もっと早く始まるはずだ」と見る動きが広まっており、この動きはあまり米国株投資家にとってもよろしくない展開だなと感じてます。
これに対して、私は「今保有している株はまだ売らなくていい」「中長期目的の追加投資ならもうしなくていい」という2つ考えでしばらく過ごそうかと思っています。
そんなに緻密に考えたわけではないのですが、これらの考えについてもう少しだけこの記事で掘り下げていこうと思います。
この記事のポイント
- まだ米国株には伸びしろがあると思っているので、「今保有している株はまだ売らなくていい」と考えている。
- しかし、2023年か2024年に30%程度下落するなら、今から投資してもリターンはあまり得られないので「中長期目的なら追加投資しなくていい」という考えでいる。
2023年から2024年の株価下落を心配している理由
どこかで株価に悪影響がでると言われている利上げが2022年にも始まる予定です。
過去のアメリカを見てみると最初の利上げから40か月程度たたないと景気後退にはなっていませんが、株価の下落は景気後退よりも早くやってくるので、あまり油断していると足元をすくわれます。
アメリカの金融政策を決める会議(FOMC)の9月の様子を見ていると、2024年に政策金利は1.75%まで引上げられるようですが、以下の記事でも書いたように今の割高な米国株にはこの金利上昇は耐えられないのではないかと思っています。
>>9月FOMCは無事に通過。気になったのは2024年の金利見通し。
また、(恐らく高いインフレを警戒して)FOMCも市場の投資家も利上げ予想をドンドンと前倒しているので、高い政策金利に耐えられなくなる時期は2024年を待たずに2023年になる恐れもあると思っています。
中長期投資家は既に注意が必要な時期
2023年や2024年の心配をしているというと、随分と先のことのように思えるかも知れませんが、下落の規模を考えると中長期投資家にとっては既に注意すべきタイミングに来ています。
私は今の米国株は低い金利のおかげで通常よりも30%ほど高い価格がついていると思っています。(割高度を測る予想PERは通常15のところ、現在は約20で3割ほど高くなっています。)
あと数年で低金利の時代が終われば、株価が調整されて30%の下落が思っても不思議ではありません。
かんたんな株価のシミュレーション
もしも2-3年後に30%下落するというシナリオが起こってしまった場合には、今から中長期の投資してもそれほどリターンを産まないことになってしまいます。
ためしに、「株は毎年10%ずつ伸びるが、2024年に20%から30%程度の下落が起こる」と仮定すると、以下の図のようにリターンはあまり良くない結果になります。
もしも、株の下落が2024年ではなく、2023年だった場合にはリターンはさらに小さくなります。
なので、数年間保有することを考えて投資する投資家は、そろそろ利上げの影響を考えながら投資をする時期に入っていると思います。
さいごに
私はまだ今直ぐに米国株が大きく下落するとは思っていません。あと半年や1年程度はまだ上昇するとも思っています。
しかし、この記事で書いたように、今から中長期目的の追加投資をしたとしても購入時よりも価格が下がる展開が起こる可能性もあると思っています。
未来がどうなるかはわかりませんが、私の場合は今保有している米国株はまだ売らずに保有を続けつつ、リスクを増やすような中長期の追加投資は米国株に関しては避けようと思います。
ちなみに、「数年間を想定する投資ではなく、1年より短い投資ならまだ大丈夫だろうか」という疑問もわきます。
恐らくまだ問題ないと思いますが、注意は必要です。
2000年の米国のITバブルが弾ける前を調べていると、利下げから利上げに転じて7ヶ月から9ヶ月で大きな株価下落が起こっています。
今後のハイテクバブルに備えて、2000年のITバブルの値動きを振り返る
2020年はまだバブルではありませんが、今後1-2年かけてバブルになる可能性も否定できません。その場合に一番状況が近いのは2000年のITバブルです。この記事では、今後やってくるかも知れないハイテク株のバブルに備えて、ITバブルの動きを振り返ります。
今の米国株はITバブル期に次ぐ割高という見方もあるので、同じような展開をたどるなら最短で2022年半ばに利上げ、2023年序盤に株下落の展開もひょっとしたらあるかも知れません。
「2023年から2024年の株下落」というと2023年は後半が注意すべき時期のような印象を受けるかも知れませんが、危なっかしい状況は2023年はじめにも見られるかも知れません。