コンテンツへスキップ

2022年アメリカの金融引き締めはまだ始まったばかり

  • by

最近はアメリカの長期金利が高い状態が続いています。

このまま金利が上昇を続ければ、どこかで米国株が大きな下落をする恐れがあります。この記事では、現時点(2022年4月上旬)でそのリスクはどの程度高まっているのかを見ていきます。

結論を先にいうと、20%を超えるような大きな米国株の下落が起こるまでには、まだもう少し時間がかかるように見えます。そして、株の急落があるまでFRBが金融引き締めをするなら、これからさらなる長期金利の上昇もあるかも知れません。

この記事のポイント

  • FRBが金融引き締めをして長期金利が上昇すれば、株はどこかで大きく下落する。
  • 実際に2018年には利上げのしすぎで、米国株が20%下落する展開になった。この時、超過CAPE利回り(国債と比較した株の割安度)は1.5%だった。
  • 2022年4月時点の超過CAPE利回りは2.5%で、2018年の株価急落時に比べれば株の急落リスクはまだ低い。

長期金利と株について


2022年のアメリカは金融緩和が急速に縮小する予定です。

>>FRBは政策引き締め継続へ、必要なら利上げ加速もと地区連銀総裁(ブルームバーグ)

今までアメリカの国債の一番の買い手だった中央銀行のFRBが売り手に回ることを心配して、アメリカの長期国債は売られて長期金利(米10年国債利回り)の上昇が続いています。長期金利が上昇すると、米国株の投資家も無関係ではいられません。4月に入ってハイテク株などを中心に売られてますが、これも長期金利の上昇と無関係ではないはずです。

でも私が心配しているのは、このまま金融引き締め行った場合にどこかで米国株が20%以上の大きな下落をする展開です。

前回の利上げ時には、金融引き締めをやりすぎた結果2018年12月に株の下落が起こっています。

今回の利上げも行き過ぎれば、このような大きな下落があるのではないかと心配しています。

現時点では2018年12月ほどリスクは高くない

金融引き締めが行き過ぎているかどうかを確認する一つの手段として、超過CAPE利回りを見る方法があります。

少し聞き慣れない言葉かもしれませんが、国債に比べて株が割安かどうかを見ることができる指標で、金融引き締め進めば値が下がる傾向があります。

下図は2000年からの超過CAPE利回りのグラフです。

これを見ると、株価が急落した2018年は1.5%まで下がっていた一方で、現時点はまだ2.5%までしか下がっていません。

リーマンショック前に1.2%まで下がったことに比べても、今はまだ株はまだ急落するような切羽詰まった状況ではないことがわかります。

これを見る限りは、2022年4月時点の米国株はまだ2018年12月の株価急落のような差し迫った状況ではないことがわかります。(ちなみにITバブル崩壊前の2000年はマイナスでした)

あるとしても2022年1月から2月までに見られたような10%程度の調整です。

株価が崩れる前に長期金利大幅上昇の可能性


さて、もしも今回も2018年と同じように米国株が急落する時の超過CAPE利回りが1.5%だとするなら、これから何が言えるでしょうか。

私はFRBは株価が大きく崩れるまで金融引き締めをすると思っています。その時の超過CAPE利回りは恐らく2018年と同じ1.5%前後になっているはずです。

現在の超過CAPE利回りは現時点で2.5%ですが、これが下がるための条件は「長期国債がもっと売られる(長期金利上昇)」か「株が買われる」か「消費者物価が下がる」のどれかです。

一番ありがたいのは株が買われることですがまだ上昇する余地はあると思っているものの、残念ながら2022年は企業の利益成長が大きくないので、それほど大きな上昇は望めません。

>>2022年は前年ほどS&P500が上昇しないと考える理由

また、アメリカの消費者物価はかなり高い数字でとどまると思っているので、3番目の「消費者物価が下がる」もあまり起こらない未来だと思います。

>>2022年もアメリカの物価の高止まりが続く理由。

そうなると、残る可能性は「長期国債がもっと売られる」です。

昨日の記事で書いたように、アメリカの10年国債利回りは40年続いた長期トレンドを抜けて上昇し始めた傾向があるので、今以上に国債が売られて長期金利が上昇する可能性はあります。

ちなみに、今の株価とインフレ率のまま、米10年国債利回りが3.5%まですると超過CAPE利回りは1.5%になります。

今まで私は長期金利の上昇はそろそろピークをつけると思っていたのですが、インフレが長引いたことで予想が外れた可能性も出てきました。ここに来て、金利の上昇にかける投資をするのも手かなと考え始めています。


本ブログからのお願い

この記事は、読者が自由に記事の金額が決められるPay What You Want方式をとっています。

「役にたった」「面白かった」など、何かしら価値を感じた場合は、YUTA'S INVESTMENT TICKETをクリックして、価値に見合った金額をお支払い下さい。

価値がないと思った場合には、お支払いは不要です。同じ記事を読み返して、新しい気づきがあった場合には、1人で何回クリックしても問題ありません。