アメリカ50年以上の超長期債を真剣に検討
8月28日、米国のムニューシン財務長官は超長期国債の発行を、真剣に検討していると発言しました。今のアメリカ国債の年限は30年が最高ですが、50年国債や100年国債が発行されれば、少し面白いことになるかも知れないと思っています。
アメリカが景気後退するまで、そして景気後退してから株価が底をつくまでしばらくの間に、継続的に買われて価格が上がっていくような商品になるかもしれません。
早い話、アメリカの超長期債が発行されて早めに買っておけば、儲かるかも知れないと考えています。
アメリカ超長期債が買われる理由
超長期債が発行されたら買われる理由は、今アメリカ国債が買われている理由と同じです。
現在、アメリカの10年債や30年債が飛ぶように売れています。2019年は世界中の国の景気の先行きが怪しくなっていて、株などのリスクが高い資産を売って、安全性の高い先進国の長期国債を買う動きが活発化しているからです。
そうした中で、アメリカ国債の安全性は世界トップクラスで金利も高いので、世界中の投資家が次々とアメリカ国債を買う動きにつながっています。
国債 | 利回り |
---|---|
アメリカ30年債 | 1.96% |
イギリス30年債 | 0.98% |
日本30年債 | 0.14% |
ドイツ30年債 | -0.24% |
最新の国債利回りはこちらを参照世界の国債 – Investing.com
一般的に国債は年限が増えれば、利回りが上昇するようになっています。なので、アメリカが現在発行している30年を上回る50年債や100年債を発行すれば、更に人気の高い商品にとなる可能性があります。
今後のアメリカの金融政策を見越しても米国債が買われる余地がある
また、アメリカの金融政策は2019年7月に政策金利の引き下げを行いましたが、今後も金利の引き下げや中央銀行が国債を大量に購入する動き(量的緩和)が今後行われる可能性が高いです。
金利の引き下げや量的緩和が行われれば、長期国債は買われることになるので、今後アメリカ国債が買われる傾向にあります。
また、ヨーロッパや日本が政策金利をゼロやマイナスの金利を引き下げたり、大規模な量的緩和を行っても景気回復につながらない場合には、ずるずると国債が買われ続けることもありえます。
アメリカ国債の価格が下るリスク
しかし、投資の世界に絶対に儲かる話ありません。
超長期債に限ったことではないですが、アメリカの国債は今はまだ買われているものの、今後大きく売られる可能性もあります。
1つは中国が保有している米国債売却です。中国はアメリカ国債の約7%を保有している国なので、景気悪化と共に中国がアメリカ国債を売り始めると、米国債も大きな下落(利回りは上昇)をする恐れがります。
アングル:中国は保有米国債を売却するか、対米報復の現実味(ロイター)
もう1つは、アメリカ政府が大規模な景気刺激策のために大量に国債を発行する場合です。
国債の大量発行によって、国債が売られた例は歴史に何度か記録が残っています。
大恐慌で1930年代にゼロ金利に陥ったアメリカがそうです。この時のアメリカの国債利回りは極めて低く抑えられていました(国債が買われて価格が上がっていた)。しかし、第二次世界大戦に参戦して大量の国債を発行して以降、1941年頃に底を売ってから、国債利回りが上がっていく現象が見られています(国債が売られて価格が下がった)。
今の時代に戦争が起こることは全く想定しませんが、中央銀行の金融政策だけでは景気回復が難しいと判断して、戦争時中のような大規模な国債発行と景気刺激策を打ち出せば、国債が売られる可能性もあります。
しかし、現時点では上の2つのどちらの可能性も低いです。
あれこれ議論しましたが、一番可能性があるリスクは、実は数年後に振り返った時に今が一番国債が買われるピークだったというオチかも知れません。すでに市場が米国債が買われる理由を見越して買われたパターンです。
買うタイミングが悪かった場合には防ぎようがないですが、アメリカ国債が買われやすい環境があること、そして超長期債が発行されれば更に買われやすい環境になることをお伝えしました。