今週は7月13日発表のアメリカの消費者物価に注目が集まっています。
逆にいうと、それまではあまり大きな動きはないと思われるので、今まで触れる機会がなかったことを時間のあるタイミングで書いておきたいと思います。
この記事で触れるのは、先週発表された6月のアメリカの非製造業の景気についてです。
このデータからわかることは多くない上に、目新しいものは特にないのです。(なので、先週データが発表されても優先順位は高くありませんでした。)
しかし、「景気拡大は緩やかになっている」ことと、「インフレ圧力はまだかなり高い」という2点は再認識しておいて損はないと思います。
この記事のポイント
- 6月のアメリカの非製造業の景気は予想よりも良かった。しかし、やはり景気の拡大スピードはゆっくりになっている。
- 一方で、インフレの圧力はまだ強い。一時期ほどではないが、景気の鈍化ほど堅調に鈍化していない。
景気拡大のペースは緩やかになっている
ISMはアメリカの毎月の景気を数値化して発表していますが、ここでは非製造業の最新の景気指数を確認したいと思います。
2022年6月のISM非製造業景気指数
- 予想:54.1
- 結果:55.3
この結果ですが、50を超えていれば前月よりも景気が良くなっていることを意味します。今月は50を超えている上に、予想よりも結果が良かったので、まずまずの出来でした。
しかし、毎月のこの数値の変化を追ってみると、景気拡大のペースはだいぶ緩やかになったなと感じます。
調べてみると、今月の結果の55.3という数字はどうも2021年4月以来の1年2ヶ月ぶりの低水準だった模様です。
やはりまだ高いインフレ圧力
次に気になったのは、やはり高いインフレ圧力です。
ISM非製造業の景気指数を細かく見ていくと、企業が仕入れなどで支払っている価格がまだまだ勢いよく伸びている様子が見えてきます。
支払い価格の伸びに一時期ほどの勢いは感じなくなってきましたが、それでも前月よりも価格が上がっていると回答している企業は80.1%で、かなり多い状況が続いています。
伸びない雇用
もう一つ、じわじわとインフレを押し上げる要因になりそうななのは、雇用です。
企業側が感じている雇用環境は、50を下回って前月よりも悪化を示しています。
ISMのレポートをざっと読んでみると、やはり企業は人手不足に悩んでいるようです。(アンケートを取った企業からは、「求人を出しても資格を満たす人材が来ない」という声も上がっていました。)
ここに今までのアメリカとは少し違った点を見ることができます。
今までなら、景気拡大のピークを過ぎたら求人が減って、労働者にとっては辛い雇用環境になっていたはずです。しかし、今回は企業に仕事があって求人を出しているのにポジションが埋まらないという雇用者側に辛い状況になっています。
人手不足で企業が提供できるサービスの量も減る供給側の問題は、景気拡大のピークを超えた今でもまだ起こっているようです。
この傾向が続けば、景気がそれほど良くないのに人を雇うために賃金は上げざるを得ない展開になります。
この手の賃金の上昇はかなり長い期間ジワジワと進行するタイプのインフレになるので、次の景気後退を超えて続くトレンドになる恐れもあると思います。