先日の製造業の7月の景況指数(景気の強さを数字で表したもの)に続き、サービス業のものも発表されましたが、結果は私にとって少し予想外のものになりました。
7月のサービス業の景気は予想よりも良く、過去最高を記録しました。経済が再開されてレストランや旅行といったサービスの需要が回復しているようです。
私はてっきりアメリカの景気は3-5月頃が景気回復のピークで、その力は段々弱まっていくと思っていたのですが、少し見当違いがあったようです。
製造業はたしかに2021年3月で景気のピークを超えたようにみえるのですが、サービス業の強さは未だに健在のようです。
この記事のポイント
- 2021年の6月のサービス業の景況指数は、ISMの調査以来で最高を記録した。
- アメリカでの外食や旅行など、パンデミックで悪影響を受けていた需要が回復している模様。
- ウイルスの感染拡大が続いても比較的強かった製造業は既に景気のピークが訪れているが、サービス業の景気はまだ力強い。
再び過去最高値を記録したべ米サービス業の景気
ISMという組織が毎月発表されている数字に、サービス業の景気の強さを表す「ISM非製造業指数」というものがあります。
毎月の経済のデータの中でもかなり早くに発表されるため、「景気の強さ」をいち早く占うために参考にされることが多いデータです。
そして、冒頭からお話しているように、7月のサービス業の景況指数は予想を超える好調ぶりを見せて、過去最高を記録したようです。
サービスの需要は高い状態が続く
7月後半から再び新型コロナウイルスの感染再拡大がアメリカでも心配事にあがるようになりましたが、7月のサービス需要は引き続き強かったようです。
以下のグラフはサービス業の受注残の変化を示したものですが、最高値に近い状態が続いていて、需要が高い様子が見られています。
また、提供できるサービスの在庫を見てみると在庫は減少していて、ここでも需要の強さを確認できます。
今月は特にアメリカ国外の需要も強かったようで、サービス輸出指数が急上昇しています。
パンデミックになってから供給能力が減っている中で需要が強くなると心配なのは、価格の上昇です。
今月も価格指数はしっかりと上がってインフレが進んでいる様子が見られています。
まとめ
この記事では、ISMから発表されたサービス業の景気指数の2021年7月分のデータを見ていきました。
7月もアメリカのサービス業はかなり好調だったようです。
先に発表された製造業の結果を見たときには、「アメリカの景気は数ヶ月に前にピークを超えていて、まもなくインフレもピークをつけるのだろう」と私は思っていましたが、今回のサービス業の結果はこれとは少し異なりました。
どうも、製造業とサービス業では景気のピークに違いがあるようです。
製造業とサービス業の景気の波の違い
- 製造業:2020年のパンデミックでもサービス業ほど景気が落ち込まなかった。すでに景気のピークは3月につけて、7月にはインフレ上昇が緩やかになりそうな兆しが出始めた
- サービス業:パンデミック時に大きく景気が落ち込んだ。製造業よりも回復に時間がかかったため、7月でも景気指数が上昇して最高値を記録。(景気のピークは3月ではなかった。)
考えてみると、パンデミックの影響の受け方が違うので、回復の道のりも違いがあって当然かも知れません。
先日は製造業の結果だけみて、アメリカ全体でインフレがそろそろ一時的なピークを迎えるかも知れないと私は考えてしまいましたが、その判断は少し早かったようです。
また、サービス業については新型コロナウイルスの影響を強く受けていることが再確認できたので、8月からアメリカで感染再拡大を見せているなかで、今後のサービス業の景気がどのように変化するのかを来月以降も見ていきたいと思っています。