ISMから9月のサービス業の景気の強さ(景況感指数)が発表されました。
すでに発表があった製造業はやや復調の兆しが見られる結果となりましたが、一方でサービス業はゆっくりとした景気鈍化が続いているようです。
この記事のポイント
- 9月のアメリカサービス業の景況感はエコノミストの予想通りだったが、ゆっくりと景気鈍化が続いている。
- 新規受注が減っているスピードに対して、在庫の減りは小さい。まだしばらく景気鈍化が続くことを表している。
- それでも景気拡大は緩やかながら続いているので、今すぐにリセッションを心配するような事態ではない。
ゆっくりとした景況感の低下が続くアメリカのサービス業
先日の記事で、アメリカの製造業は不調ながら回復傾向にあることを書きました。
一方で、非製造業(サービス業)はゆっくりとしたペースで景気が鈍化し続けているように見えます。
今月もISM非製造業指数が発表されたので結果を見ていきます。
- 予想:53.6
- 結果:53.6
この結果は50を超えていれば景気拡大、50を下回ると景気縮小とみなします。9月のデータは上に書いたように53.6だったので、緩やかな景気拡大といったところです。
結果は予想通りでしたが、依然として2021年後半のピークから緩やかに景況指数は減少しているように見えます。
試しに2021年11月のピークから2023年9月までの減少ペースが続くとすると、それほど遠くない時期に景気悪化を示す50を下回る可能性が見えてきます。
新規受注ほど在庫は減っていない
そして、今月のISM非製造業指数は内訳を見ても内容がよくなかったです。
新規受注は減っている一方で、在庫はそれほど減っていない印象があります。
このような在庫が受注を上回っている関係は、今後のサービス業にとってあまり良いサインではありません。
さいごに
ISM非製造業指数を見ながら、景気は弱まりつつあることを見ていきました。
そして、受注が減少している割に在庫はそれほど減っていないことから、非製造業(サービス業)の景気の鈍化はまだ続くのではないかという話をしました。
ただ、冷静に見てみるとまだISM製造業指数は50を超えていることから、アメリカのリセッション(景気後退)がすぐにやってくるとは思いません。
企業の景気悪化してから人員削減が始まって失業率が上がるには時間がかかるので、リセッションにはまだしばらく時間がかかります。
先日見たように製造業指数は一時の不調から回復傾向にあることを見ても、まだ景気拡大期の後半はしばらく続くのだろうと思います。
少し前の記憶になるのですが、たしか2019年も製造業はISMの景況指数は50を下回って景気悪化を示しているのに、非製造業は50を超えてなかなかリセッションに向かわないことがありました。
結局は次の年にパンデミックが起こってリセッションに突入するのですが、今回も何かのショックが起こって景気後退になる可能性のほうが高いのではないかと最近考え始めています。
下のグラフでアメリカの地銀株ETF(IAT)は3月の水準を下回って下落が続いています。投資家はまだ地銀への警戒心を緩めていないようです。
なんとなくですが企業の景気や失業率の悪化を待つ間に、銀行が耐えられなくなってショックが起こるのではないかという気がします。