ここではISMが発表したアメリカサービス業の3月の景気について見ていきます。
結論からいうと、サービス業は3月に景気拡大のペースが大きく鈍化しました。
2022年までの傾向では製造業は弱い一方でサービス業はまだ強かった印象がありましたが、変化の兆しが見られます。製造業のような景気悪化はまだ免れていますが、新規受注が急減速するなど心配はつきない様子です。
この記事のポイント
- 3月のアメリカのサービス業の景気拡大ペースは予想以上に鈍化していた。特に新規受注が大幅に鈍化した。
- 4月に入ってから発表されたアメリカの経済指標は予想を下回るものが多く、景気悪化が近づいている印象を与える。
大きく減速した3月のサービス業の景気
ISMが発表した3月のサービス業の景気を見ていきます。
エコノミストの予想は54.4だったのですが、それをやや大きめに下回る51.2を記録しています。
- 予想:54.4
- 結果:51.2(前回:55.1)
この数字は50を下回ると「景気悪化」していると見ます。今回は51.2なので景気悪化に突入するのは避けられましたが、薄氷を踏む展開です。
2021年末には60を超える高い値を記録していたのですが、それから長い期間で下落トレンドは続いて節目の50が近づいている印象があります。
また、冒頭にも書きましたが、心配になるのは新規受注の急減速です。前月には62.6を記録していた新規受注指数は、今月は52.2へと10ポイント下がっています。
2022年末には新規受注が50を下回るような展開はありましたが、このときは気候による一時的な要因が指摘されていました。
しかし、今回は私の知る限りはそのような一時的な要因は聞きません。
アメリカのサイクルは終盤に到達
4月に入ってから発表された経済指標は今のところ、どれでも優れません。
2月の求人件数は予想以上に低下していることがわかり、3月の民間雇用統計(ADP雇用統計)も予想を大きく下回っています。
また、ISMから発表された3月のアメリカ企業の景気について、製造業は景気悪化、サービス業はほんのわずかな景気拡大にとどまるという感じです。
こうした冴えない経済指標の結果を受けて、1-3月期のアメリカのGDP成長率予想も低下が見られます。
アトランタ連銀のGDP予想モデル(GDPNow)では、つい先日まで+3%超えのGDP成長率を1-3月期で予想していましたが、今は1%台半ばまで落ちてきています。
アメリカの景気サイクルは後半ではなく、終盤に入っていると言えそうです。
私にはざっくりとした予想しかできませんが、あと数ヶ月から半年程度でアメリカは景気後退に突入する恐れがあると思っています。
今のところ米国株は2023年に入ってから+6%台で推移していますが、2023年の残りの9ヶ月もこの調子で行くようには見えないです。