いまだにアメリカの景気が悪くなると言っている投資家はかなり少数派になりましたが、私はその一人です。
2023年はアメリカの景気後退はまぬがれましたが、それは消費と雇用が持ち堪えたためです。そのどちらかが崩れれば、いずれ景気は悪くなるだろうと思っています。
そして、雇用については雲行きが少し怪しくなっているデータがISMから発表されているので、確認していきます。
この記事のポイント
- アメリカの企業に毎月アンケートをとっているISMによると2月は製造業もサービス業も雇用が弱まっている模様。
- データ公開頻度が高いIndeedの求人件数を見ても、2月にアメリカで求人件数が減っていることがわかる。
- 今週は求人件数(JOLTS)と雇用統計の発表が控えている。
ISMの雇用指数のわずかな悪化
まず、このブログを書こうと思ったきっかけとなった、2月のISM非製造業指数(アメリカサービス業の景気の強さ)を見ていきます。
- 予想:53.0
- 結果:52.6
この数字は50を超えるとサービス業が景気拡大、50を下回ると景気悪化が起こっていると見ます。
2月は予想にこそ届きませんでしたが、わずかに届かなかっただけです。また、50も超えているので、それほど問題もないように見えます。
私が気になったのは、その内訳です。2月に雇用の弱まりが感じられます。
サービス業も製造業も2月に雇用は弱まった
次のグラフはサービス業に雇用に関するアンケートをとった結果をまとめたものですが、前月よりも50を下回っています。
前月よりも雇用が弱まっていると回答している企業が多いようです。また、同じような動きは製造業でも見られます。
2022年の頃は人を雇用したくても人手不足で雇用指数が50を下回ることはありましたが、今は恐らくそうではないです。
下図はIndeedの求人件数の過去1年間の動きをグラフにしたものですが、今は企業は求人を減らしているので、ISMの雇用指数の弱さは企業が採用に積極的ではないことを示しているのだと思います。
今週は雇用に関する経済指標の発表が控える
というわけで、ISMのデータを見ると2月は雇用の伸びが悪くなっているだろうという予想がつきます。
今晩の求人件数(JOLTS)のデータは、今まで通りIndeedと同じように動くなら、それほど良くないはずです。
また、今週末に予定されている雇用統計も恐らくそれほど強くないと思われます。
少し思い返すと、前回1月のアメリカ雇用統計では非農業部門雇用者数(NFP)が大幅に伸びていたため、景気拡大が続いているという第一印象を持ちました。
しかし、詳細を見ると増えているのはパートタイムでフルタイム雇用者は増えていなく、雇用環境としてはむしろ弱まっているようなデータでした。
これから発表される2月の雇用統計では、もう少しわかりやすく雇用が鈍化している様子が見られる気がしています。